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小田急多摩線延伸へ前進 国「意義ある事業」の評価

社会

公開:2016年4月14日

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 国内の交通政策を調査・審議する国土交通省の「交通政策審議会」で7日、答申案が公表され、小田急多摩線(以下多摩線)唐木田駅から上溝までの延伸計画が、今後めざすべき首都圏鉄道の実現に向けて「意義ある事業」と位置付けられた。多摩線延伸を求め要望活動をしていた関係者からは、悲願達成への大きな一歩となったことで、喜びの声が上がっている。一方、実現に向けては自治体間での費用負担や、採算性の面で解決すべき課題が残されており、今後の動向が注目される。

 今回示された答申案では、今後の都市鉄道について、国際競争力強化や街づくりとの連携などの視点が必要と分析。前回の2000年の答申では各事業を格付けし整備の優先順位を付けていたが、今回格付けは実施されず、各自治体から数多く提案された事業案の中から、分析結果に合致する24事業を事業実施の根拠となり得る「意義ある事業」として位置付け、多摩線延伸はその中の一つに盛り込まれる形となった。

官・民が一体で

 多摩線の延伸を巡っては、2000年の「運輸政策審議会」で、JR横浜線、相模線方面への延伸が「検討すべき路線」と格付けされて以来、官・民レベルで延伸実現に向けた動きが活発化した。民間では行政に先立ち、02年に市自治会連合会などによる「小田急多摩線延伸促進協議会」が設立されると、相模原市や町田市、小田急電鉄などを交えた「小田急多摩線延伸検討会」などが組織され行政レベルでも、延伸実現に向けた機運が高まっていた。

補給廠返還が追い風

 14年には延伸する上での課題となっていた相模総合補給廠の一部が国へ返還され、鉄道用地を確保できたことも追い風となった。こうした流れを受け、関係者、住民間で実現に向けた期待が一層高まる中、2000年の「検討すべき路線」という不確実な位置付けから、条件が整えば整備への具体的な取り組みの実施へと移行できる「意義ある事業」という位置付けに変わったことは、延伸に向け大きな一歩との見方ができる。

 「小田急多摩線延伸促進協議会」の会長を務める成川猛さんは、吉報を受け「市の中央に鉄道が通るのは、大変喜ばしいこと。市民の力のおかげでようやく、我々の気持ちが国に通じた」と喜びの言葉を語った。延伸先となる上溝地区に住む菅野宏一さんは「上溝までの延伸が決まれば、かなり便利になる。行動エリアが広がると思う」と語り、早期の実現に期待を寄せた。

費用負担 大きな課題に

 市内で喜びの声が上がる一方、実現に向けては課題も残されている。

 最大の懸念は、自治体間での建設費用の負担割合だ。概算で1080億円に上る建設費を巡っては国、自治体、鉄道整備主体の3者で3分割する予定となっている。「自治体」の負担分に関しては、相模原市をはじめ、東京都、神奈川県、などで協議を重ね負担割合を決定していく方針だが、都県をまたぐ事業のため調整が難航する恐れもある。「小田急多摩線延伸を促進する議員連盟」の久保田義則会長は「今後、自治体間で議論を重ね、合意形成を図ることが重要」と話した。

 他にも、路線の収支採算性を確保するため、市が進める広域交流拠点の整備を含めて需要の創出が求められる。市担当課によると、今後市では関係各所と協議しながら、費用負担の割合や、唐木田駅・相模原駅間の新駅(町田市内)設置、厚木方面への更なる延伸の可能性についてなどを検討していく方針だ。

 7日に提出された答申案は、14日まで募集するパブリックコメント(意見公募)を経て、今月下旬には答申として国に提出される。

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