さがみはら南区 トップニュース社会
公開日:2024.01.25
相武台団地
寝たきり予備軍発見へ
健康測定会、国から表彰
相武台団地内の交流拠点で行われる産学官連携の健康測定会がこのほど「健康寿命をのばそう!アワード」(厚生労働省など主催)で優秀賞を受賞した。寝たきり一歩手前のフレイル状態の住民を拾い上げ、行動変容を促し、必要なサービスにつなぐ。高齢化が進む同地域の健康寿命を延ばす取り組みが評価を得た。
「骨が丈夫ですね。骨折したことはありますか」。骨密度を測定する女性に北里大学の学生が声をかける。
相武台団地内にある交流拠点「ユソーレ相武台」では、月に2回、周辺住民が無料で参加できる「足腰人間ドック」が開催されている。
足腰人間ドックとは、骨密度や筋肉量、歩行速度などの測定や「友人の家を訪ねているか」など日常生活のアンケートを実施。双方の結果から介護が必要となる一歩手前の状態を指す「フレイル」の危険度を参加者に数値で示している。
同団地に住む小牧嘉夫さん(90)は、2年ほど前から定期的に足腰ドックに参加する。「筋力がちょっと減っているかな。数値で現れるので参考になる」と自身の健康に役立てている。
この取り組みは同拠点を運営する一般財団法人シニアライフ振興財団、北里大学医療衛生学部、相武台地域包括支援センターが連携して行う。2021年9月から月2回ほど開催。昨年7月末までに、延べ461人が利用している。
自覚の機会増やす
「足腰人間ドック」を監修した同大学医療衛生学部リハビリテーション学科の上出直人准教授は「近所で頻繁に行う気軽さから、より多くの人が参加しやすいことがポイント。フレイルは病院で調べることもなく、症状が出るわけでもない。気が付く機会を増やし、生活習慣で意識してもらうことが大切」と指摘する。
また「介護リスクが高い人を拾い上げ、予防のためのアプローチができる」と語るのは同包括支援センターの長谷川優子さん。同所はフレイルリスクが高い人に対する電話でのフォローや地域の自主グループなどにつなげている。
高齢化率5割超え
相模原市の高齢化率は26・3%である一方、同団地の高齢化率は5割を超えている。同団地を管理する神奈川県住宅供給公社高齢者事業部の一ツ谷正範さんは「団地はエレベーターがなく、身体機能が低下すれば外出機会も減る」と懸念する。
こうした状況を受け、事業を開始。当時と1年後を比較し、フレイルの割合に大きな変化はなかったが、プレフレイルは34・8%から28・5%に減少した。介護保険サービス利用者が地域の自主グループの利用に移行した例もあるという。一ツ谷さんは「数値化により体の状態が分かりやすく、必要に応じたサービスにつなぐゲートウェイとして機能しているのでは。健康寿命を延ばす社会課題に対して進めていきたい」と語った。
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