認知症に関する診断、治療、相談、支援を専門的に行う医療機関「相模原市認知症疾患医療センター」は2012年に相模原市の委託を受け、南区北里の北里大学病院内(当時北里大学東病院内、その後移設)に設置された。この間、社会では認知症への理解が進み、「認知症でも安心して暮らせる社会」の構築が求められるようにもなっている。19年にセンター長に就任した、専門医の大石智さん(北里大学医学部精神科学講師)にその現状や課題を聞いた。
気付き「早く」
記者 センターができて12年。大石さんはずっとセンターに携わられていらっしゃいますが、その中で何か変化を感じることはありますか?
大石さん 認知症に関する認識や理解は広がってきていると感じます。啓発活動の影響もあって、認知症に関する理解が深まり、早めに気づいて相談する人が増えています。例えば、市内では物忘れ相談を実施したり、センターでも電話相談や対面の相談、受診などが行われていますが、その結果としては、物忘れに気付いてから相談に至るまでの期間が短くなっていると感じます。これは、啓発活動の一つの効果だと思います。
記者 啓発活動の目的は何でしょうか?
大石さん 目的は、認知症に対する理解を深め、早期に気づいたら相談しようという意識を持ってもらうことです。また、認知症と間違えられやすい体の病気や薬の影響についても早めに気づいて対処することが大切です。さらに、認知症が治らない場合でも、安心して生活できるようにすることや、周りの人に認知症があることを知ってもらい、その人の得意なことを発揮できる社会を目指すことも目的の一つです。しかし、こうした目標はまだ道半ばであり、完全には達成されていないと感じています。
接する機会増やして
記者 認知症でも安心して暮らせる社会を実現するために、何が最も必要だと考えますか?
大石さん 道半ばとはいえ、今は良い方向に進んでいる部分もあります。例えば、市内でも認知症と診断された方が仕事を続けられる事業所が少しずつ増えてきたり、神奈川県でも認知症と診断された方が自分の経験や体験を語る場が増えています。これらは、認知症があっても自分の役割を発揮し、生きがいを持って生活できる時代になりつつあることを示しています。しかし、認知症に対するネガティブな偏見がまだ根強く残っており、それが原因で周囲に自分の状態を打ち明けにくかったり、家族が相談しづらかったりする現状があります。こうした偏見を弱めるためには、認知症に対する社会的な構造やサービスの改善が必要です。例えば、認知症のある人と接する機会を増やすことが重要です。そして、認知症と診断された方が働く事業所が増えることで、社会全体での理解が進むことが期待されます。
記者 大石さんはセンター長に就かれて5年になります。この間の活動を振り返って、特に印象的だった出来事はありますか?
大石さん 若年性認知症と診断された方々が集まる場を訪れたとき、診察室とは違って明るく自信に満ちた姿を見て、自分の中にもまだ偏見があったことに気づかされました。認知症があっても、生き生きと体験を語り、お互いを支え合っている姿が非常に印象的でした。
活躍の人たくさん
記者 最後にもし、自分の家族が認知症になった場合、どのように対処すればよいでしょうか?
大石さん 認知症に対する恐れや不安は理解できますが、認知症と診断されても活躍している人はたくさんいます。例えば、認知症と診断されてからも一人暮らしを続けている人や、仕事をしている人もいます。認知症と診断されたからといって、何もできなくなるわけではありません。得意な部分やその人らしさに目を向け、強みが発揮されるような生活を一緒に考えていくことが大切です。
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