昨年の競馬界で、復活への敬意と期待をこれほどまでに一身に浴びた騎手がいただろうか。JRA騎手24年目・後藤浩輝さん。昨年4月にレース中に遭った落馬事故で頸椎骨折という大怪我を負い、一時は引退も取りざたされる中、周囲の協力と、「怪我をしたレースを引退レースにしたくない。もう一回でいいから、ちゃんとレースに乗りたい」との一心で懸命のリハビリを乗り越え、11月22日、東京競馬場で執念の復活を果たした。同24日には復帰後初勝利。満場の拍手が送られる中、後藤さんは喜びを感じつつも、視線は次なる目標をとらえていた。自身2度目となった大怪我。その中で、今回の悔しさ、情けなさが本当の意味で晴れるのはまだ先と考えている。「まずは一年間コンスタントに乗る。リズムを取り戻すことです。それからです」
相模原の旧友との交流も
後藤さんは地元・相模原が大好きだ。横山小、清新小で多感な少年期を過ごし、清新中では、友人と器械体操部を立ち上げるなど活発な少年だった。地元の幼なじみや友人らとは今でも親交が深い。怪我で療養中のときも、病室に見舞いにかけつけてくれたり、励ましの電話をもらった。こうした地元からの応援が励みや勇気となって、後藤さんを復帰へと強く後押しした。「地元の皆とは互いに影響を与え合いたい。特別な存在です」と感謝の気持ちを口にする。
休息も束の間、1月4日からは、2015年の戦いが幕を開ける。「怪我からの復帰は、人生で大きな挑戦だった。その挑戦に勝つことができ、戻って来られた」と昨年の戦いを振り返るも、「勝負の世界にいる以上、もっと大きな挑戦をしていかなければいけない」と早くも気合をみなぎらせる。今年はG1(競馬の最高格付けのレース)の美酒を味わうのはもちろん、通算1500勝(昨年12月20日時点で1436勝)も手の届くところまで来ている。だが、それも通過点でしかない。「その先の2000勝に向けていかなければならないから」とさらなる大目標を見据える。
プロとして競馬に乗る以上、勝利、そしてファンを喜ばせることにこだわり続ける後藤さん。2度の大怪我を不屈の魂で乗り越えた今、競馬に向かわせるものは何なのか。「これが今の自分の表現方法。ファンの方のためにも、まずはジョッキーとして馬に乗って活躍すること。ただ、今回の復帰によって、生命力は多くの人に伝わったと感じています」。今度はそれを競馬で、レースの中で一層輝かせ、さらに磨きをかけていく。
後藤さんは最後に、凛とした表情を見せ、地元相模原で応援するファンに向けてこう言った。「僕は(相模原の)市民代表として、毎日頑張っています。そこは胸を張って言いたい。相模原は大好きな場所。これからも、市民の方が誇れるようなジョッキーでありたい。皆さんもぜひ、応援してください」
今年も、ファンに感動と笑顔を贈るため、精いっぱいのプレーでターフを駆け抜ける。
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