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さがみはら緑区版 公開:2021年11月18日 エリアトップへ

「合議制裁判」実現に向け、横浜地裁に要望書を提出── 市内弁護士からの"提言" 大谷氏・多湖氏インタビュー

社会

公開:2021年11月18日

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 神奈川県弁護士会相模原支部に所属し、長年「合議制裁判」の実現に向け、第一線で活動してきた大谷豊弁護士。要望書の提出への同伴は2回目。

 「合議制裁判を実施しない理由として横浜地裁は人的な要因も挙げ、所長代行からは『裁判官の人数が揃っているだけでは不足で、質の問題』という発言があった。『相模原の司法は遅れている』と認識しているような発言だが、相模原の司法の充実と質の向上には合議制裁判の導入が必要不可欠であると言える。

 合議制裁判は3人の裁判官によって行われる。同支部には家裁と地裁の専門裁判官、そして支部長の計6人が在籍しており、合議制を実施できる体制自体は整っている。

 合議制の実施には『判事補』(経験が10年を超えると裁判官に任命)の存在も関係があると言われているが、同支部では不在。人員配分に関与する横浜地裁から配属されていないのだ。判事補を配属することで、若い意見を取り入れるなどの効果が期待でき、議論を活発にさせる要素になる。『質の向上』を求めるのであれば、判事補を配属するべきだ。12月の人員配置の議論での進展を期待したい。

 検察庁相模原支部の設立当初には2人いた検事が現在は支部長である1人しかいない。検察庁は相模原では『検事を育てる土壌がない』と思っているため人材を置かないのではないか。このままだと行政事件など検察官に訴える事件があった場合、支部長(検事)が被告になるため『副検事』が事件を深く扱う立場になるが不在ということで、事件が同支部ではうまく扱えないことも出てくると思われる。

 『合議制裁判』でさまざまな事件を扱うことが可能になると、裁判官をはじめ検察、弁護士など司法に携わる者にとっても経験が増え、質の向上につながる。研究が進み、緊張感も更に出てくるだろう。質の向上は市民に還元されていく」

 同支部の地域司法改革委員会の委員長として2019年に就任以来、合議制裁判の実現に向けて積極的に活動する多湖翔弁護士。今回の横浜地裁での申し入れにも同伴している。

 「昨年度までの横浜地裁の対応は『事件数や距離など総合的な判断で実施できない』と機械的な印象。相模原支部より管内人口と事件数共に少なく、距離的要因も変わりない横須賀支部には導入されているという点を伝えると、具体的な基準を示さず、『総合的判断』の一点張りだった。

 しかし今回、対応した所長代行は『相模原での合議制裁判の実施は難しい』としながらも、『不都合性については熟知しているが、それを加味しても他3支部と比べて不合理とは言えないと考えている』とした。実現に向けた手応えには未だ遠いが、不都合性については理解を示すなど機械的な態度が変化。おそらく市議会の声明と両市長が来たという事が刺さっているのではないかと思う。

 私が合議制を推進するのは、ひとえに市民が不利益を被ることがあることが理由。同支部から横浜地裁本庁に事件が回されると2カ月ほど手続きに時間がかかる。また距離的・金銭的負担により横浜まで通うことが難しく、出廷を諦める人も。実際に依頼者の中に、高齢だったため手続きの遅れを待たず亡くなってしまった方もいる。

 現在担当している事例では、1年4カ月の同支部での審理の末、本庁に回されて、8カ月の待機を余儀なくされた。本庁での審理はまた1からやり直しとなってしまった。もし同支部で合議制裁判ができていれば、今ごろは第1審判決が出ていた。それくらい裁判の進みが違うこともある。

当事者にとっては早く終わらせたいのに、裁判所の手続きのせいで数カ月審理が遅れる。それは不合理でおかしい。

 裁判というと自分の生活とは無関係のように思えるが、市民にはぜひ関心を持ってほしい。一部の方の問題だと思わずに、社会をよりよくするためにお力添えいただきたい」

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