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高津区 社会

公開日:2025.12.26

フリー校利用者へ補助広がる
県が今年度から支援制度

 不登校になる児童・生徒の増加を受けて、民間団体や個人が運営する「フリースクール」に通う子どもが増えている。一方で公立学校などに比べて保護者の経済的な負担が大きいことから、授業料の一部を補助する制度を設ける自治体も現れている。神奈川県も今年度から、こうした市町村を財政的に支援する仕組みをスタートさせた。

増加続く不登校

 文部科学省の調査によると2024年度、全国の小・中学校の不登校児童・生徒の数は35万3970人で、過去最多を更新した。10月29日に県が発表した「令和6年度神奈川県児童・生徒の問題行動・不登校調査」でも、昨年度の不登校児童・生徒数は公立小・中学校合計で2万4250人に上り、昨年度より621人増加している。

 こうしたなか、新しい学びの場として注目されているのがフリースクールだ。はっきりとした定義はないものの、文科省のホームページでは「不登校の子どもに対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設」とされている。県内では神奈川県学校・フリースクール等連携協議会と連携している団体だけでも35カ所にのぼる。

 一方で民間が運営するため、公立学校などと比較すると保護者の経済的な負担は大きい。15年に文部科学省が行った調査によれば月額利用料(授業料)の平均は約3万3千円。1〜5万円程度の施設が多いとされる。

 コロナ禍中に小学生だった子どもが不登校になりフリースクールを利用したある保護者は「経済的負担もそうだが、送迎などが必要となって仕事を続けられなくなるなど、生活への影響は大きい」と話す。

3市で補助制度

 独自に保護者を支援する自治体も増えている。鎌倉市は23年9月、フリースクールの授業料等の一部を補助する制度を導入した。

 その後、海老名市が24年7月、相模原市も今年10月から同様の仕組みをスタートさせている。

 こうした状況を受けて県は今年度、「神奈川県フリースクール等利用児童・生徒支援事業補助金」を創設した。

 制度の最大の特徴は、フリースクール等に通う児童生徒の保護者を支援する事業を実施する「市町村」に対して県が財政補助を行うこと。

 県担当者は「保護者や児童生徒により身近な市町村を支援することで、地域の実情に応じた支援ができる」とし、今年度は260人分3120万円の予算を確保した。

川崎市「検討中」

 一方、川崎市は、補助制度の創設について「検討」の構えだ。市は現在、文部科学省の調査研究事業に協力し、生活困窮家庭に対して交通費や活動費など一部の経済的支援を実施しているものの、市内のフリースクールは多様なため、県の連携会議に参加する団体らと定期的な情報共有や現地視察などを実施し、実態把握に努めている。

 また、フリースクールの代わりとなる「学びの場」の確保としては、市内各校で、教室に入れない児童・生徒のために別の部屋(校内教育支援センター)での支援などに取り組む。さらに、学校以外の学びの場として、市内6カ所に教育支援センター「ゆうゆう広場」を設置し、施設内での活動や専属バスを活用した社会見学など、さまざまな体験ができるような支援を行っている。

 フリースクール活用に対する経済的支援について、担当する市教育委員会事務局は「総合的な不登校対策を推進する中で、関係局とも連携し慎重に検討していく」との見解を示している。

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