2月25日、教育会館(中央区)での「さがみはら生物多様性シンポジウム」で講演を行う 加瀨 ちひろさん 町屋在住 39歳
動物の幸せ願い考えぬく
○…母校である麻布大学獣医学部動物応用科学科で2018年から講師を務める。鶏や動物園動物などの飼育動物からイノシシやハクビシンなどの野生動物まで、身近な動物を対象に研究を続けてきた。現在は学生に教える傍ら、市民向けの講演も引き受ける。シンポジウムでは人と生活圏が重なる野生動物との関わり方を話す。「動物を知ってほしい。知ることが問題解決につながる」
○…小さい頃から動物が好きで、小学校では飼育係だった。「毎日お世話をする中で『どうしたらウサギはもっと幸せになれるんだろう』と考えていた。いっぱい死ぬし、うまく育たない子もいる。動物のためになることがしたかった」。獣医を目指した時期もあったが、「今生きている動物の普段の生活を支えたい」と考え、動物の行動や生態の研究の道へ。大学で恩師に出会い、「動物目線」で考える必要性に気づいた。「動物は種ごとに見えている世界が違って、同じ種でも1匹ずつ違う。それを理解することが大切」
○…出張や講演の仕事も多い中、息抜きになっているのは3匹の愛猫との時間。保護された猫を引き取って育てている。「そのうちの2匹は警戒心が強くて、もう1年半くらい経つのに触らせてもらえない」と笑う。「猫派です。猫はなんとなく野生動物に近い感じがする」
○…かつて自分が大学で「動物の目線に立って考える」ことの大切さを知ったように、学生たちの思い込みや勘違いをほどき、「動物目線で考えて動ける人材を育てていきたい」と教育には力を入れる。「どうしたらもっと動物が幸せに暮らせるのか」という自問は今も変わらない。これからも「動物が動物らしく生きられるように」信じた道を突き進む。