鳥屋囃子交流会実行委員会の委員長を務める 早戸 茂さん 鳥屋在住 56歳
伝統芸能、未来へつなぐ
○…鳥屋で6年ぶりに開催される交流会を目前に控え「お囃子なので楽しくやりたいね」と笑みがこぼれる。約20年前、鳥屋地区にある3つの若連が、近隣の団体との共演を通じて技量を高め、地域の人たちに伝統芸能への理解を深めてもらおうと発足した「交流会実行委員会」。その代表の委員長を5年前から務める。「一人じゃないからね、周りが盛り立ててくれる。久しぶりの開催だから、無事にけがなく終えられれば良いよね」とイベントの成功を願う。
○…夏の鳥屋諏訪神社例大祭が近付くと、まちにはお囃子の音色が漂う。小さい頃から「憧れ」だったお囃子。小学低学年で上鳥屋の踊りに参加すると、「うれしくて夢中になった」。中学2年の時、周りの勧めで篠笛に挑戦。難しいとされる音がすぐに出たことから、笛の担当に任命された。「あの時、音が出なきゃ」と苦笑するが、1年ほどで、仲間に「天才」と言われるほどの奏者に。いわゆるドレミの音階では記されていない楽譜。今までは、耳や感覚で伝承されてきたが、「上鳥屋の笛を確立させるため、誰もが同じに吹けるようにしたい」。今、その道を摸索中だ。
○…約10年前に土木関連の会社を設立。現場や会社の顔として日々忙しく過ごす。休日には、愛妻と旅行や美味しいもの巡りでリフレッシュ。「観光地を巡りながら、その土地のことや食を知るのは楽しい」と笑顔。
○…お囃子や伝統芸能を将来へ継承するため、後進育成も会の大きな目的の一つ。「若い子たちに演奏や踊りを『伝える』だけでなく発表の場も増やしたい」と熱く思いを語る。「そろそろ引退」を考えつつも、「鳥屋の伝統芸能を未来につなぐ」ため、演者としてリーダーとして、精一杯の力を尽くす。