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公開日:2017.06.08
八王子芸者の「復活」
取材10年 単行本に
八王子花柳界のドキュメント本が6月1日、刊行された。単行本「芸者衆に花束を。八王子花柳界、復活」(風声舎)は芸者取材歴20年のライター、浅原須美さん=人物風土記で紹介=が10年に及ぶ八王子花街の取材をまとめたもの。1999年に10人だった芸者の数が2017年には20人に増えた「復活物語」を軸に、地元の人々や八王子のまちとの関わりなどについて丁寧に描いている。
ライター浅原さん まちとの関わり描く
浅原さんが芸者に関心をもったのは20年ほど前。料亭を取材する仕事で新橋、赤坂などに出向き、そこで初めてその存在を知った。「まるで東京のブラックホール」「限られた人の世界」のようで「不思議」に感じたのが第一印象だ。
好奇心を刺激された浅原さんはその後、全国約50カ所の花街を取材する。八王子に訪れたのはその一環。2007年、中町の待合で「めぐみさん」(置屋ゆき乃恵)に出会い、その存在に心を奪われた。それがこの本のきっかけにもなった。
「芸者衆は『独特の雰囲気』を持つ。それは全国共通で、長く続けている人ほどそれを強く感じる。めぐみさんにもその雰囲気がより(・・)ありました」。めぐみさんは八王子芸者衆の中心人物で、この書の主人公的な存在でもある。浅原さんは昨年5月、市内であったある団体の総会でふと「(彼女たちの)役に立ちたい」と思い、「自分にできることを」と執筆を決意した。
200人から10人
明治時代から織物業で発展した八王子ではその接待の場として、花街が生まれた。最盛期には200人ほどの芸者が活躍していた。しかし織物業の衰退とともに、花柳界も縮小し芸者の数は10人にまで落ち込んだ。
浅原さんによると、「ここまではよくある話」で、実際都内でも1999年に柳橋(台東区)にあった組合が解散している。では八王子はなぜ「風前の灯」状態から、復活・再生を遂げることができたのか…。そこに至る軌跡が丹念に書かれている。
全167ページ、定価1500円(税別)。市内各書店で取り扱い。問い合わせは同社【電話】03・3358・9880へ。
なお浅原さんは著書に「夫婦で行く花街 花柳界入門」(小学館)、「お座敷遊び 浅草花街 芸者の粋をどう愉しむか」(光文社新書)などがある。
カメラマン鈴木さん「景色変わる存在」
「芸者さんがいるだけで、その景色、空気感が変わります」。そう話すのは、「芸者衆に花束を。」で写真を担当したカメラマンの鈴木竜馬さんだ。
大和田町に事務所を構える鈴木さんは2014年に「八王子をどり」が開催された際、パンフレットの製作で初めて芸者衆を撮影した。浅原さんとはその時に知り合い、今回浅原さんが本を作るにあたり依頼を受けた。
昨年から「八王子まつり」など芸者衆が登場するイベントなどでシャッターを切った。鈴木さんは芸者衆の魅力について「普段から芸事に勤しんでいられるので、お上品」と語り、今回は「できるだけ普段の表情を撮るように心がけました」と振り返った。
鈴木さんは「八王子芸者衆カレンダー」の写真も手掛けている。
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