八王子 文化
公開日:2025.10.16
小門公園
移植から20年 桜と別れ
樹齢推定100年 寿命で伐採
JR中央線立体化事業で伐採の危機を乗り越え、地元住民から親しまれてきた小門公園の桜(ソメイヨシノ)3本が寿命を迎えている。倒木の危険性が指摘されており、10月6日には伐採作業が開始された。長年地域を見守り続けた桜との別れに、住民からは惜しむ声が聞かれる。
小門公園の桜は、かつて「桜横町踏切」近くにあった推定樹齢100年の古木。2003年からのアンダーパス工事により切り倒される可能性があったため、地元住民が立ち上がった。当時、近くで洋品店を営んでいた毛木忠勝さん(86)が友人と「魅力ある八王子を創る会」を発足し地元町会などと協力。移植や保存を求める署名を集め市に提出し、3本のソメイヨシノが公園の敷地内へ移植された。毛木さんは「当時で樹齢は推定80年だった。すごい寂しいが危ないなら仕方ない。あれから20年、頑張ってくれた」と桜を労った。
空洞化で危機
移植後、時が経つにつれ年々傾き始め倒木を心配する声も出始めた。市は支柱を取り付けるなどして対策を講じ、指定管理者が強風警報、台風の翌日などに落ち枝処理を行うなど管理を続けてきた。2025年2月に樹木医の診察を受けると「根の腐朽空洞率が50%以上」で幹の内部が空洞化しており、「倒木の危険あり」と診断された。これを受け、市は今年度中の伐採を決定。市公園課は小門町町会など関係者に状況を説明し、今秋の伐採に至った。
小門町町会の田中伸幸会長(66)は「切られるのを知っていたのか、今年の春は狂い咲きのように豪華に花を咲かせていた。あって当然の桜だったから寂しい」と話す。
新品種に植替え
市公園課によると、伐採後新たに植えるのはジンダイアケボノという品種の桜3本。開花時期や花びらの形がソメイヨシノと似ており、病害にかかりにくいと言われる。
植える時期は未定だが、来年春前の今年度中をめどとしている。同町会からの提案で植樹には小門町町会のこども会が携わり、「植樹式のようなものができれば」と構想を練る田中会長。子どもたちの手で地域のシンボルが引き継がれることになりそうだ。
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