「放課後感」大切に音楽を

　○…７月末に苗場スキー場で行われた国内最大級の野外音楽フェスティバル「フジロック」。バンド結成当時に観客として遊びに行き「素晴らしい」と感じていた場所だ。それから10年。今年初めてそのステージに立った。ファンやバンド仲間から祝福の声が数多く届いた。「目指すべき場所だったので光栄でした。嬉しかったし楽しかったです」と満面の笑みが広がる。

　○…多摩美術大学を卒業後、大手広告制作会社にアートディレクターとして入社。その新人研修で出会った仲間と作ったのが「ｔｏｃｏｎｏｍａ」だった。メンバーの好きなクラブミュージックやファンクの”良いとこ取り”をした歌のないインストバンド。ジャズやロック、ＪＰＯＰの要素も取り入れた曲の数々は、先鋭的でありながら懐かしさをも感じさせる。その魅力に幅広い年齢層がライブ会場に訪れるという。「皆さんの人生のＢＧＭや思い出にしてもらえたら」と笑顔で語る。

　○…大松台小学校出身。バスケ部だった鶴牧中学校時代に「モテたくて」ギターを始めた。文化祭で親友と舞台で演奏したのが人生初のステージ。高校でもギターを弾き続け、大学時代に軽音楽部で様々な音楽を学んだことが今の活動のルーツだ。

　○…平日は仕事をし、週末に曲作りやライブ、レコーディングを行う。仕事があるからこそ、週末の音楽活動を楽しめている。ＣＤジャケットも自身で製作。その「放課後感」をこれまで大切にし続けてきた。９月からはツアーが始まり、香港でのライブも決まっている。「日比谷の野外音楽堂でいつかライブをやりたいですね。多摩でもデザインの仕事やライブができたら」と笑顔で今後の目標を語る。音楽を”心の洗濯”と語るそのスタンスで、自分たちが楽しめる音を奏で続けていく。