新型コロナウイルスによる行動様式の変化から、「利用控え」の影響で、苦境に陥っている業界は少なくない。「病児保育室」もその一つ。本紙では、コロナ禍の病児保育室の現状と課題について取材した。
市内には、中央林間、鶴間、大和に3施設の病児保育室がある。
市内初の病児保育室は、2005年、大和南の小児科「もみの木医院(斉藤清一院長)」内に開設した。同院は、市内で受診者数が最も多かった時期もあり、斉藤院長が「お母さん方から寄せられる声から必要性を感じ、地域に還元できたら」という思いがきっかけだった。08年からは市の委託事業として委託料を、19年からは国や県、市からの補助金を得ているが、実質は赤字で院長の寄付で運営を続ける。
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病児保育室の存在は、女性の社会進出が進み、共働き世帯が増え、保育園への預け入れが増える中で、大和市が進める待機児童解消の施策にも大きく寄与しているといえる。一方で、運営はもみの木医院のように、運営団体の奉仕的な思いに支えられ、成り立っているのも現状だ。
18年に開設した「バンビーニ」もその一つ。バンビーニは、保育園を運営する社会福祉法人勇能福祉会が、市内北部の需要に応えるため立ち上げた。もみの木同様、市から補助金は得ているものの、理事長の寄付で運営を賄っている。
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そんな状況に追い打ちをかけたのが、新型コロナによる利用者減少だ。
コロナ以前の19年度は、市内3施設で1981人が利用したが、20年度は382人まで減少。
もみの木医院の鈴木美香室長は「テレワークの普及で、保護者が各家庭で見られる状況になってきているのかもしれない。保護者自身が見てあげられるならそれが一番」と打ち明ける。
バンビーニの西田室長は「室内感染を恐れて、利用控えもあるかもしれない。利用者数に応じて補助金の額が決まる仕組みの中で、次年度への不安もある。他の自治体では医師の回診を義務づけて、補助を出しているところもあるので、回診費に行政の支援があったら」とこぼす。
市は、「働き方の変化により利用者が減ってきているとも考えられる。現時点では判断できないが、今後、定員数の見極めが必要になってくるかもしれない。回診費への補助は財政的に厳しい。市からは、国や県に実施要綱の見直しを求めている」と話す。
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バンビーニではクラウドファンディングで運営支援金を集めるなど、運営継続のための方策を検討。支援金は4月6日時点で135万円に。目標の150万円が集まると「1年分の医師の回診費と運営費の一部に充てられる」(西田室長)。支援は本日9日(金)23時59分まで受付けている。
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テレワークが普及し働き方が変わりつつある現時点において、コロナ終息後、以前と同数の利用者が戻ってくるかは分からない。しかし、働く保護者がいる以上、決して無くなることはないセーフティネットであることは確かだ。その施設が、法人の奉仕的な思いで成り立っているという事実は、知っておくべきではないだろうか。
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