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海老名・座間・綾瀬 人物風土記

公開日:2026.01.16

綾瀬市などでフルートの慰問公演を続けている
長沼 一四(ひとし)さん
綾瀬市早川城山在住 73歳

生涯、訓練の人

 ○…開いてみせた分厚いファイルに、楽譜がぎっしり詰まっていた。8年前から介護施設で演奏を続け、レパートリーは800を超える。会場ごとに手製の歌集を配り、観客に歌ってもらうのがこだわり。「歌うごとに初対面の緊張がほぐれて、笑顔に変わるのが分かる。別れや寂しさを奏でると、ハンカチで目を押さえる人もいてね」

 ○…自宅には海上自衛隊の階級章が飾ってある。哨戒機の搭乗員として約9千時間のフライトで、日本の海を守ってきた。宮城県の農家に生まれ、高校卒業後に船乗りになりたい一心で横須賀の海上自衛隊に入隊。ここでは起床後に50mを1分間で泳ぐ訓練が日課だった。山育ちでなかなか泳げず、赤い帽子をかぶせられた。「不思議ですよね、練習を続けると泳げるようになるんですから」

 ○…父として2人の子を育て、次男は同じ海上自衛官の道を歩む。緊急の任務につきやすい綾瀬市に家を購入し、転居したのが25年前。定年退職後にプロの演奏家の曲に感動し「自分も奏でたい」と思ったのが、フルートとの出合いだった。楽譜の読み方から始め「訓練しかない」と猛練習。ボランティアに登録し、慰問演奏を始めた。昨年は117回演奏したが「とにかく楽しい。待っている人もいますので」と疲れを微塵も出さない。

 ○…4年ほど前に音楽療法士の資格を取り、演奏に生かすようになった。イントロクイズや手品も盛り込み、来場者を飽きさせない。昨年自宅で転倒し、大切な指を複雑骨折したが「そんなこともありましたね」と、かすり傷のよう。500回の節目を前に「よくやったと思う、次は600回」。小さな休符を入れることなく、新しい旋律に向き合っている。

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