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厚木・愛川・清川 文化

公開日:2013.06.14

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物腰柔らかな女流義太夫
下荻野在住 竹本土佐子さん

  • 現在も師匠に付いて舞台に立ち続ける竹本土佐子さん

 6月16日に市文化会館で行われる人形浄瑠璃「あつぎひがし座」の自主公演に出演する。同座では10年ぶりの再演となる『三十三間堂棟由来』で太夫を演じる。伝統芸能ひと筋。芸の道を追い求め続ける女流義太夫・竹本土佐子さん(下荻野・71歳)に話を伺った。



 ▽昨年11月9日、秋の叙勲で「旭日双光章」を受章した。受章の第一報をうけたときは、「青天の霹靂でした。私が受ける資格があるのかしら」と驚いたという。「幕が開いて下りるまでは自分の責任。絶対に舞台を務め上げる。舞台に上がったら一生懸命やるしかない。自己満足でお客様と向き合ってはいけないし慢心はだめ」と自らに課した強い気持ちと不断の努力が認められた瞬間だった。6月25日には国立演芸場で行われる「叙勲記念公演」も控える。



 ▽1942年、下荻野生まれ。5歳から師匠の竹本土佐尾さんに義太夫を学んだ。義太夫節は、せりふに三味線の伴奏で節をつけて語る伝統芸能。「ちょっとやってみようか」というのがきっかけだったそう。9歳から三味線を始め、荻野小5年生のとき「竹本土佐子」を襲名した。学校から帰ってきたら稽古づけの毎日だった。夏休みになると母に連れられ、宿題を抱えて東京・柳橋の師匠の家に内弟子として住み込んだ睦合中時代。東高に進学した後も、稽古の連続。義太夫節のテープを聴いても自分の力量分しか取れないため、師匠をよく観察して技術を磨いたという。「子どもの頃は上下関係の厳しい世界に置かれて、同世代の友達がいませんでした」と話す。



 ▽「義太夫は情で語って人に訴えかける物語。形は教えられるけれど、情の部分は教えることができません。情は悲しさとも違う。やればやるほど難しいものです。お稽古はプレッシャー。自分との闘いです」と義太夫への想いや難しさを丁寧に話してくれた。



 ▽夫と二人暮らし。電車での移動中に漢字パズルをするのが気分転換になっている。「厳しいことを言われましたがここまで来られました」と優しく落ち着いた口調が印象的だった。

 

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