「皆様に健康をお届けして60年―」。酒井にある厚木ヤクルト販売(株)(高田喜八代表取締役・71)が今年で創設60周年を迎えた。これまでの軌跡やヤクルトへの思いを高田社長に聞いた。
同社の創業は1954年7月、設立は翌55年9月。ヤクルト創業80年とのW節目に「良い年にしないといけない」と力を込める。今年1月にはレンブラントホテル厚木で新年決起大会を開き、従事者約300人らと新たなスタートを切った。
今後は5カ年計画を作って、5年後には今より5割お客様を増やし、従業員の待遇も改善していくことをめざしていく。また、主婦が多いヤクルトレディの教育も徹底するという。
開発者の思い忘れずに
昨年9月、ヤクルトが1日に販売される出荷本数は、全世界で3000万本を超えた。10日で3億本になる計算だ。ヤクルト開発者で創業者の故・代田稔氏は、病気にならない体づくりを提唱、ヤクルトは「100年に一度の大発明」だとされた。
ヤクルトの目的の一つは、「健腸(けんちょう)長寿」。腸が丈夫ならば免疫の60%は腸内で作られるという。二つ目は予防医学。三つ目は、「ハガキ一枚よりも高くなるな」という意味で、「良いものを安く」提供すること。
日本においても、「国民皆飲(かいいん)」が実現すれば健康社会になる。現状は5%だが、全人口の6〜7%にあたる約950万人に飲んでもらうことが当面の目標だ。「昔は男性は下痢、女性は便秘で苦しんできた。花粉症にも効果を発揮するんですよ。飲んですっきりしたと感謝の声をいただくことが嬉しいです」
子どもの時からヤクルト配達
東京は浅草の生まれ。小3の頃に武蔵野市に引っ越した。小4から高校まで毎日学校に行く前に、ヤクルトを届ける日々を送っていた。40cmの雪の中をかき分けて届けたことも。「その体験が自信になっている」と当時を振り返る。同社には大学卒業と同時に入社した。当時の苦労は知名度。ヤクルトの名前を憶えてもらうことに四苦八苦した。
転機は33歳。父の故・八郎氏から直接社長室に呼ばれ、「今日で辞めるからお前が(社長を)やれ」と言われ、びっくりしたという。とにかく資金繰りが大変で「生きた心地がしなかった。夜も眠れなかった」と話す。
誇りは、1968年〜70年まで売上伸び率全国日本一で販売会社の最優秀賞に輝いたこと。「そろそろ楽して良いかなぁ」と専務で息子の喜將さんに言うと「社長の健康のためにも頑張ったら」と返されたそう。「代表として地域社会に尽くしていきたい」とまっすぐ語った。
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