5月の半ば、毎年工場を一般に開放し「ばら鑑賞会」を開催している会社がある。厚木市上依知の内陸工業団地内にある日本フルハーフ株式会社だ。毎年この時期、同社の周囲はバラの気品ある香りが漂い、無機質な工業団地の風景に彩りを生む。鑑賞会は今年で32回目。訪れる人は市内外から約1万人。多くの人を魅了する「バラの咲く工場」を取材した。
始まりは55本のバラ
同社はトラックの荷台部分のアルミボデーやトレーラなどの輸送用機器を製造販売する会社。全国各地に拠点を持ち、グループ全体で約2500人、本店・厚木工場には約1200人が勤務する。バラの栽培は「殺風景な工場に潤いを」との思いから同社役員の発案のもと、有志が集まり工場外周に55本のバラを植えたのが始まりだ。その効果は少しずつ開花し、周囲に化学変化をもたらした。バラは少しずつ増え、3年後の1988年、創立25周年の折に「綺麗に咲き始めたばらを近隣の人たちにもみてもらおう」と地域貢献の意味も込め、鑑賞会をスタート。当初訪れる人は2000人ほどだった。
地域に広がる潤い
工場内のバラは今では約400種1000本。鑑賞会には1万人が来場。「バラの咲く工場」としてその名を馳せている。特筆すべきは手入れを行っているのは同社の専属社員だということ。現在の植栽担当は4代目の熊谷和浩さんと5代目の鈴木英樹さん=写真上。もとは工場勤務だったという2人。「先輩たちが繋いできた歴史を受け継いだ使命感で担当しています。主役はバラ。自分たちは脇役です」とリーダーの熊谷さん。「社会から信頼される良き企業市民をめざす」を企業理念に掲げる同社。植栽担当社員を先頭に全従業員が想いをひとつにしている。「社員の社員による社員のためのばら」は「社員の社員による”地域とともに楽しむ”ばら」に昇華した。今年も咲き誇るバラが来場者を待っている。
◆日本フルハーフばら鑑賞会
開催日/5月19日(日)。午前9時30分から午後2時(雨天決行)。場所/厚木市上依知上ノ原3034。工場内のバラを鑑賞できるほか、苗木・切り花の販売、植栽担当者による栽培セミナー、地域住民の出店など。入場無料。問合せは同社【電話】046・285・3111へ。
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