万葉の里(福井県越前市)主催の短歌コンクール『あなたを想う恋のうた』で、県立厚木東高校(村越みどり校長)が、学校賞2位にあたる優秀学校賞を受賞。個人でも生徒2人が秀逸、教諭が佳作を受賞するなど、初めての応募で快挙を達成した。
厚木東高校では、今年度2年生全7クラスの現代文の授業を木目田美咲教諭が担当。その中で「日本語の言葉を大切に」という目的で、意味を調べさせるなど指導を行っていたが、表現活動の一環として俳句や短歌づくりも採用してきた。そこで楽しみ的な要素を加え、より興味を持ってもらえるようにと、『あなたを想う恋のうた』短歌コンクールへの応募を思いついたという。初めての試みだったが、恋というテーマに最初は抵抗感を示していた生徒も最終的には真剣に取り組み、木目田教諭は「改めて”恋”について辞書で調べたりする生徒もいて、学びになったのではないか」と話す。
コンクールには、全生徒275人の作品346首を応募。身近なものを題材にした作品が多かったという。また、生徒らから勧められ、同教諭も一緒に応募することにしたという。
結果、草柳百萌さんの『新しい薄手のコートで待ち合わせ君待つ時は少し寒いな』と、山本佳歩さんの『ばあちゃんが「これで初恋終わった」とじいちゃん天に召されてつぶやく。』が秀逸。木目田教諭の『恋のうた詠むぞと意気込む私見て生徒は笑う「宛て人知らず」と』が佳作に入賞。さらに常連の強豪校を押しのけ2位にあたる優秀学校賞を獲得した。
審査員からは「自由な発想で高校生全体のレベルが上がっている。厚木東高校については、先生の的確な指導がうかがえ、先生と生徒のよい関係も垣間見える」との評価があった。
草柳さんは「入選したいと思って一生懸命取り組んだ」、山本さんは「審査員に伝わってほしいと気持ちを込めた」と高評価を喜ぶ。
同教諭は、「一人くらい入賞したら皆の励みになるかなくらいに考えていたのですが想定外の結果。楽しみながらいろいろな表現を使っていて、予想以上に生徒たちが短歌・俳句に興味を持ってくれたようでうれしい。すでに“次こそ”と言っている生徒もいるので、次回もチャレンジしたい」と話した。
同コンクールは、万葉集に63首も残る、1270年ほど前の中臣朝臣宅守と離れ離れで暮らす妻・狭野弟上娘子との間に交わされた情熱的で悲しい恋の歌のゆかりの地にちなみ、1998年から始まったもの。毎年1万首を超える短歌が全国から寄せられている。
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