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厚木・愛川・清川 コラム

公開日:2022.03.11

戦さなき世を成し遂げん

 今月の歌舞伎座の第一部の演目は『新・三国志』。これは三代目市川猿之助さんの下で、スーパー歌舞伎として私が脚本執筆したものを、24年ぶりに当代・四代目猿之助さん総指揮の下、歌舞伎座版としてリメイクしたものだ。



 蜀の国の武将・劉備玄徳が実は女だったと言う新解釈の設定。血沸き肉躍る戦国ロマンに、敢えて女性目線を入れて「闘わない三国志」として仕上げて初演以来大評判になり、パート3まで上演された。



 この新三国志を稽古し、初日を迎えようかと言う2月末にロシアのウクライナ侵攻が突然始まった。



 乱世の武将たちが天下を争い、闘いに明け暮れるなか、我々の物語の劉備は、ひたすら民の安寧と平和を願う。そんな劉備の夢を実現すべく絆を結んだ、強者の関羽、張飛や天才軍師・諸葛孔明たちが力を尽くして大国の魏や呉の国に対してゆく。



 その姿やセリフが、この状況下、ご観劇下さるお客様の心に響いているようで、想定外の反響を頂いている。まあ、お客様方は一日中無辜なる市民が死に晒されているニュースを見せられ、そこから劇場に来られるわけで、暴力よりも平和を求める物語に、リアルな感情を重ねて観て下さっているのだろう。



 このタイミングでこの作品を上演しているのは偶然なのだけれど、運命を感じずにいられない。猿之助さん以下、私たち関係者一同、世界に向けてメッセージする気持ちで、日々の公演に臨んでいる。



※歌舞伎座公演 第一部「新・三国志 関羽篇」脚本演出・横内謙介、演出主演・市川猿之助 



3月28日まで公演中。チケットホン松竹【電話】0570・000・489

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