♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓(厚木市長谷在住)
ここ数年の間に、ウィーン時代の師匠と日本の師匠を亡くしました。それだけ自分も歳を取ったという事なのでしょう。
私のお気に入りのピアニストの1人、アメリカ出身のバイロン・ジャニスも今年の3月に亡くなりました。日本での知名度はあまり高くありませんが、巨匠ホロヴィッツの数少ない弟子で、演奏スタイルもホロヴィッツそっくり。ウィーンの師匠と同じ1928年生まれなので、ここ数年気にしていました。新聞の片隅に、小さく死去されたという記事を読み、これでまた一つの時代が終わったと思いました。
全盛期は完璧なテクニックの持ち主でしたが、30代で手の関節炎を患い、ピアニストとしてのキャリアをほぼ絶たれました。ショパンのワルツを弾いている晩年の動画を拝聴しました。古き良き時代のロマンティズムを漂わせた素晴らしい演奏です。
アルゲリッチ、バレンボイム、エッシェンバッハなど、80歳を超え現役を続けているピアニストがいます。中学生の頃にオーチャードホールで聴いたバレンボイムの美音は、生涯忘れる事はないでしょう。健康長寿100年の時代、生涯現役で活躍していただきたいです。