きらら浮世伝
今年の大河ドラマ「べらぼう」の主人公は江戸時代の版元・蔦屋重三郎です。実は私は三十七年前にこの人物を主人公とした舞台の脚本を書いています。今はなき銀座セゾン劇場というバブル時代の文化拠点で、タイトルは「きらら浮世伝」、主演は歌舞伎俳優の十八代目故中村勘三郎さんでした。その時の名は五代目勘九郎、三十三歳。横内は二十六歳。とんでもない若さで大仕事を託されました。演出が気鋭の映画監督で、とにかく常識破りの時代劇を生まれたての劇場で創るのだと意気込んで、シモキタ辺りで名が売れ出した程度の小劇場劇作家(私)を起用したのです。
この「きらら浮世伝」を復活させようという企画が持ち上がりました。見え見えのドラマ便乗企画です。ただし歌舞伎座で、主演が六代目中村勘九郎。ヒロインが七之助。お二人は勘三郎さんのご子息です。初演時、賛否両論ながら熱狂的に支持してくれる人たちがいて話題となり、再演の話は幾度か持ち上がりました。けれどその時の勘九郎さんの演技が凄すぎて、勘九郎以外の蔦重は考えられず、やんわりと断り続けてきました。
ところが、時が巡りまさに勘九郎という名の俳優がやるという奇跡です。運命を感じずにはいられません。実際に稽古に入って鳥肌が立ちました。あの時の、蔦屋重三郎が蘇って目の前にいる。演出家が泣いちゃいけないんですけどね、涙が止まりません。
2月 歌舞伎座にて上映中
詳細は松竹チケットサイト
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