2020年は東京五輪・パラリンピックが56年ぶりに開催され、年末には小惑星探査機「はやぶさ2」の地球帰還も予定されている。こうした大きなニュースとは対照的に、最も身近な「地域」が見直されている。新年にあたり、私たちが住み働く綾瀬市の古塩政由市長に話を聞いた。(聞き手・編集長 宇佐美真)
新年度「積極的に事業展開」
――2019年の市政を総括をしてください。
昨年は、将来を担う子どもの育成や地域福祉を支える担い手の発掘と育成、外国人市民が綾瀬の一員として活躍するための施策など、これからの綾瀬を見据え、少子高齢化や人口減少社会のなかで綾瀬市が将来に向けて持続可能な都市として発展するための取り組みを行いました。
――今年9月末までに予定されていた「(仮称)綾瀬スマートIC」の開通が「21年夏頃」までに再び延期となりました。このスマートICの開通を契機とした「まちづくり」はどのように進めていますか。
(仮称)綾瀬スマートIC開通時期の変更は、地元の期待が大きいだけに非常に残念です。引き続き早期開通に向けた要請と協力をしていきます。交通利便性が飛躍的に向上する効果を最大限に生かすため、IC周辺の整備事業を進めるとともに地域経済の活性化につながる施策などに取り組みます。スマートICを利用する多くの来訪者が期待されるなか、円滑な交通環境の確保や、地域振興と魅力発信の拠点となる「道の駅」の整備を進めています。ほかにも周辺地区の良好な環境維持を図るための地区計画の策定や運用の開始をはじめ、県道42号を「綾瀬シンボルロード」として景観形成重点地区に指定し象徴的なまち並みの創出を進めます。また、パーク&バスライド整備による高速バスでの移動利便性の向上を図ります。
――市長は2016年の就任以来「ものづくりのまち あやせ」を掲げ工業振興に力を入れています。ここまでどのような感触を得ていますか。
市内製造業を取り巻く環境が非常に厳しくなるなか、積極的な事業展開を図る意欲をもった中小企業に対し、行政としてこれまで積極的な支援をしてきました。これらの取り組みにより、市内製造業の活性化やネットワーク構築につながるなど徐々に実を結んできていると実感しています。
――団塊の世代が後期高齢者世代になろうとしています。市長は福祉サービスについて「受け手」だけではなく「担い手づくり」にも力を入れている感じます。その手応えと今後の課題などがあればお聞かせください。
新たな担い手の発掘と育成に取り組み、福祉有償運送団体の設立や住民主体の移動支援事業の運行開始などの成果が得られたなかで、今後は取り組みの拡大や継続への支援が課題となります。高齢者が担い手として活躍できる地域社会をめざし、アクティブ・シニア応援窓口では社会参加の促進を図るマッチング事業を行っており、今後はアウトリーチの拡大を検討していきます。
――4月からの2020年度当初予算はどのような方針で編成していますか。
「活力と魅力に満ちた綾瀬」の実現のため、5つの政策を予算編成の柱としています。既存事業のリニューアルやアウトソーシングを通じて行政運営の効率化を図る一方、多様化する課題に対応するため、必要な施策へ重点的に経営資源を投下する積極的な事業展開を盛り込みます。
――現時点で市民の皆様に伝えることができる、肝いりの新しい取り組みがあれば教えてください。
市内の小学生が厚木基地内小学校の授業を受ける事などの交流事業を実施して友好親善を深め、外国語習得の意欲向上を図ります。地域社会の一員である外国人市民の自立と活躍を促進するため、新たな行政通訳員の配置や主要公共施設のサイン改修など言葉の壁の解消を図り、多文化共生社会の実現に取り組んでいきます。
――4年間の市長任期が今年7月に満了します。現時点でのご自身の進退についてのお考えと表明の時期についてお聞かせください。
公約であります「活力と魅力に満ちた綾瀬」の実現に向け、着実に歩みを進めてまいりました。今後につきましては、まだお伝えできる段階ではないと考えておりますが、今は取り組んでいる施策の実現に全力を注ぎ、日々の職務を全うしたいと考えています。
――ご家庭ではこの三が日どのように過ごされますか。
例年、地元の神社への初詣と新年のご挨拶回りに伺いながら、家族と過ごしています。時間があればゆっくり読書もしたいですね。
――最後に市民に向けてメッセージをお願いします。
綾瀬市の強みでもあるコンパクトなまちの良さを最大限活用した施策に全力で取り組み、市民の皆様と共に「あやせ色」輝く「ふるさと綾瀬」を築いてまいりますので、一層のご理解とご協力をお願いいたします。本年が皆様にとりまして幸多き年となりますようお祈り申し上げます。 【了】
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