政治家や企業経営者など、様々な分野で活躍するリーダーを輩出している松下政経塾の現役塾生、小林祐太さん(25)が、「猿島航路」「軍港めぐり」で知られる地元企業の(株)トライアングルで研修を行っている。学びの狙いは何か? 本人を取材した。
松下政経塾はパナソニックの創業者である故・松下幸之助が1979年に設立した私塾。茅ヶ崎市に拠点施設があり、全寮制で有為な若者を育成している。小林さんは40期生。主に人口減少と地域の魅力創造を研究テーマに活動している。
転出超過ワースト1大きな衝撃
大学時代に出身地の横須賀が転出超過で全国の市町村でワースト1位(2013年)であることを知り、愕然としたのが今へと繋がる原点。どうにかしたいとの思いに駆られ大学卒業後に入塾を志願した。「全国の自治体が抱える人口減少の課題を突き詰めたい。解決の方策を学ばせて欲しい─」。面接官に熱意をぶつけて厳しい選考をくぐりぬけた。
最初の2年間は、人口減少の影響や全国の自治体が行っている定住・移住促進政策を研究。そこから見えてきたのは、対策に振り回されて目先の数値のみに一喜一憂している自治体の姿だった。「家賃補助や補助金をテコにした誘導策が大半だが、支援の切れ目が縁の切れ目になっているケースが少なくない」。費用と労力に見合う成果を得るには、呼び込みたいターゲット層の明確化と移住者の満足度を高める不断の努力が必要であることがわかった。
一方で、転出超過や人口減少それ自体を問題視することにも疑問を持つようになった。「減っていることが問題ではなく、減っていくことで出てくる影響を先回りして手当していく現実的な発想」。今はこの考えに傾いているという。
突撃メール
地域経済を維持・活性化させるには、交流人口の拡大も重要なテーマとなる。横須賀の中で人々を惹きつけている場所はどこか。「猿島」「軍港めぐり」が頭に浮かんだが、頼れる人脈は皆無。トライアングル社に研修の受け入れをメールで依頼した。
その直感に間違いはなかった。同社は地域資源を発掘し、磨き上げることで観光集客に繋げている元気企業。コロナ禍にあっても果敢な挑戦を続けていた。緊急事態宣言下に乗客ゼロの無観客運航を行っていたのは、平時にできない操船訓練を若手が行う絶好のチャンスだからだと聞かされた。その姿勢は松下幸之助の「不況またよし」の言葉と一致した。先ごろは猿島にエコステーションを立ち上げるプロジェクトを発表。環境学習をテーマにした企画で新しい来島者を呼び込むアイデアなど、次の展開に向けた準備に余念がない。
「住んでみたい」と「住み続けたい」の両輪の施策を絶えず回し続けることが、人口減少時代のまちづくりの姿であると、確信めいたものを感じている。研修期間中にその実践課題をもう少し学んでみるつもりだ。
■大津町出身/大津小─公文国際学院(中高一貫校)─立命館大卒/松下政経塾3年目
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