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横須賀・三浦 社会

公開日:2021.08.20

上町銀座商店街
今も現役、アートな建築
創業100周年の「みどり屋」

  • 昭和の風情の残す「看板建築」。上町のシンボル的存在

 上町の県道沿いにある祭礼用品専門店「みどり屋」は今年、創業100周年の節目となっている。設立時の登記簿などが残されていないため正式な日付は不明だが、現在の建物は1930年(昭和5年)に建てられた記録があり、今も現役だ。

 愛知の農家だった創業者が日露戦争の兵役で横須賀を訪れ、軍都のにぎわいに惹かれてこの地に移り、商売を始めた。愛知は知多木綿や有松・鳴海紋などで知られる織物産地。当時の横須賀は発展と極度の品不足が相まり、故郷から取り寄せた産品が飛ぶように売れたという。

 創業間もなく関東大震災で店舗が倒壊。しばらくバラックで営業を続けた後、現在の店舗を構えた。木造の住居兼店舗に銅板などの化粧を施した「看板建築」。昭和戦前期に数多く建てられた大衆建築の様式だ。

 商売は戦後、洋装化が進み、日常着としての着物の需要が低下していく。「祭礼衣装」専門に舵を切ったのは1960〜70年代。市内のあちこちで神輿保存会が発足し神輿渡御が盛んになっていた頃で、これに呼応するように祭礼衣装が求められていったという。

 現在はコロナ禍で、地域の祭礼は軒並み中止。みどり屋の営業も我慢を強いられているが、番頭の山田義明さんは前を向く。「三浦半島の祭を通じてその土地その土地の『におい』を感じ取ることができるのはこの商売の大きな喜び」。店舗の姿を写真に収めていく人の姿も日常の光景だ。老朽化による不具合との闘いであるが、「祭の手伝いをこの店とともにしていきたいと思っている」

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