わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編 【2】うららの誕生「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」
この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。
とある6月、当時小学3年生だった私に妹が出来ました。「きっと幸せな事なんだろうな」「きっと嬉しい事なんだろうな」-。父親は柄にもなくはにかみ顔を浮かべ、母親は喜びと幸せを噛み締めた様子。年子の妹は「妹かなあ、弟かなあ。妹がいいなあ」と期待を膨らませ、弟は幼いながらもニコニコと表情を緩ませていました。私はそんな雰囲気を壊さぬよう、家族の表情をなぞるみたいに、逆流してくる本音を抑え込んで「嬉しいね」と伝えました。
私には1歳差の妹と5歳下の弟がいます。日常茶飯事の兄弟喧嘩は、両成敗となれば良いものの、大概は長男の私が「大人な対応」を強いられる。それがいつものオチ。今なら納得がいきます。ただ幼かった私はその溜飲の下げ方が分からず、溜まった鬱憤は次第にヘドロのようになり、「長男なんだから」という言葉が沈殿していくばかりでした。
ただそこで親には歯向かわず、これは仕方のないものだと自分を納得させていました。いつかはこんなくだらない喧嘩もしなくなる。その時までただ待てばいい。そうしてむせ返す感情をせき止めては、自分を騙し、落ち着かせる日々。いつか来る終わりに期待を寄せ、もうこれ以上はないんだと安堵していた私。
「6月になりました。いよいよ本格的な梅雨到来です」。いつものアナウンサーがそう告げる。「外で遊べないな」なんて考えていると、両親が嬉しそうな表情で一言。「大事な話がある」と。
-次回に続く
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