横須賀・三浦 教育
公開日:2025.10.31
海洋サイエンスカフェ
海のプロが未来の羅針盤
次世代人材に向けて講演
横須賀市と観音崎自然博物館は10月26日、次世代人材の海洋への探求心を育む「海洋サイエンスカフェ」を共同開催した。現役漁師、元水族園園長、博物館学芸員、海洋研究開発機構研究員という海の第一線で活躍する専門家が登壇。自らの仕事や生き方を語り、参加した児童・生徒たちは将来のヒントを探った。
元東京都葛西臨海水族園園長の坂本和弘さんは、水族館の立ち上げ準備で南極へ生物採集に赴いた経験や水産試験場での研究などのキャリアを紹介。「一見無関係に見える経験も後から必ず役に立つ。人との出会いを大切に、将来の方向を狭く絞りすぎないでほしい」と自身の経験から得た教訓を伝えた。
家業を継いで漁師となった金澤等さんは、自ら獲った魚や地元の野菜を提供する飲食店との両立を語った。「仕事は生き方そのもの。お金も必要だが、どんな生き方がしたいかが一番大切だ」と力説し、「ないものは生み出せる。想像は形になる」と、子どもたちの創造力を刺激した。
長野県出身ながらクジラに魅せられ、東京海洋大学で研究者の道を歩んだ神奈川県立生命の星・地球博物館学芸員の西村双葉さん。海岸に漂着するクジラを調査する「ストランディング調査」の過酷さとやりがいを伝達。「巨大な個体の解剖は真夏には特に大変」と現場の厳しさを伝えつつ、「新しい発見に立ち会い、自然の記録を未来に残せることに大きな喜びを感じる」と仕事の魅力を述べた。
講演後には、参加者から質問が飛び交った。「どうすれば水族館の飼育員になれますか?」「今までで一番美味しかった魚は何ですか?」「漂着の連絡が入ったらすぐに現場へ行くのですか?」といった具体的な質問に講師陣が丁寧に回答。海の仕事の多様性と奥深さに触れる貴重な機会となった。
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