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横須賀・三浦 コラム

公開日:2026.01.23

三郎助を追う 〜もうひとりのラストサムライ〜
第28回 文・写真 藤野浩章

  • ペリー上陸地「玉楠の木」(横浜開港資料館)

「またか。そなたの得意とする手だの」

 大方の予想を半年も早めて日本へやって来た米艦隊。その理由は、ロシアの存在だった。

 半年前の来航の後、ペリーは中国に滞在していたが、ロシアのプチャーチンが日本との交渉を開始するという情報を得たために、再び日本を目指したという。しかも、前回をはるかに凌ぐ規模での来日に、その本気度を見ることができる。

 まず問題となったのが、交渉そのものをどこでやるか、ということ。その予備交渉は浦賀の館(やかた)浦(うら)で行われ、日本側は鎌倉か浦賀を提案するが、江戸に近づきたい米側との隔たりは大きかった。

 そんな膠着(こうちゃく)状態の中「ニセ奉行」が再び登板する。香山栄左衛門である。彼がいないことに不審を抱いた米側からの"ご指名"で、別の役目だった香山が呼ばれたのだ。その効果か、本交渉は横浜村で行われることになったのだった。

 本交渉の全権は林復斎(ふくさい)。幕府の頭脳とも言える重鎮がついに登場する。しかしこれは、圧倒的な軍事力でプレッシャーをかけてきた米に対して、エースが登板せざるを得なかったということかもしれない。二百年余り続いてきた「祖法」の鎖国政策が、あっという間に崩れようとしていた。

 緊迫した状況の中、浦賀奉行所はサポート役に徹することになったが、本書では船大工の勘左衛門が"ニセ同心"として米船に乗る場面が描かれている。冒頭のセリフは、またもや奇策を繰り出してきた三郎助に対する戸田氏栄(うじよし)のもの。貪欲に学び続ける三郎助のスピリッツは、幕府を守る力として浦賀を越えていくことになる。

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