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横須賀・三浦 文化

公開日:2025.11.14

横須賀出身の栗原さん バイオリニストとして将来嘱望
期待の新鋭、初の地元凱旋

  • 栗原壱成さん

  • オーストリアで開催されたヨーゼフ・メイセーダー国際バイオリンコンクールのファイナルで演奏する栗原さん(本人提供)

 横須賀市出身のバイオリニスト、栗原壱成さん(29)が12月7日(日)、ヨコスカ・ベイサイド・ポケットで初の地元凱旋となるリサイタルを、ピアニストの南ことこさんとの共演で開催する。

 昨年、若手音楽家の登竜門として権威のある日本音楽コンクールで優勝し、将来が期待される栗原さん。クラシック音楽好きの両親に連れられてコンサートへ頻繁に足を運んでいたことで興味をもち、3歳で初めてバイオリンの弓を握った。

 子どもには親しみにくいクラシック音楽だが、当時から好きだったテレビ番組は「N響アワー」。画面にくぎ付けとなってプロの指使いを学ぶなど、幼少期からバイオリンに強い関心を抱いていた。稽古にも進んで取り組み、小学2年生からさまざまなコンクールで優勝を果たした。

挫折を機に基礎練習

「これが同じ楽器の音なのか」。中学2年生の時、父の運転する車のカーステレオから流れていた「バイオリニストの王」と言われるヤッシャ・ハイフェッツの音色に衝撃を受けた。

「それまでは、なんとなく続けている感じで、コンクールで受賞してもどこか他人事だった」というが、この出来事を機に「完全にハマった」。世界の名演奏家たちの動画に没頭するようになり、次第に友人と遊ぶことよりもバイオリンを優先する生活に変わった。本格的に演奏家を志すようになり、音楽を専門に学ぶ高校として国内最難関とされる東京藝術大学附属高校に進学。プロを目指し、慣れ親しんだ横須賀を離れた。

「高校時代は、ずっと挫折ばかり」。全国から集った高い能力をもつ級友に囲まれて校内試験も最下位と振るわず、次第に失われていった自信。技術的な限界を感じるなか、自身を見つめて気が付いたのは「土台となる力」が不足していることだった。

 そこで、弦を指で押さえずに弾く「開放弦」に取り組むなど、多くの時間を基礎練習に費やした。その甲斐もあって実力が開花。進学先の東京藝術大学を主席で卒業した。その後は数々の国際コンクールで優勝を果たしたほか、国内外の多数のオーケストラと共演するなど、世界を股にかけて活躍している。

表現力の源泉は横須賀

 武山小学校に通っていた頃は「アウトドア派な子ども」で、放課後になれば毎日暗くなるまで友人と裏山を駆け回り、虫捕りや魚釣りを楽しんだ。高校や大学の級友からは「毎日稽古漬けで遊ぶ時間なんてなかった」という話を聞かされる中、「我が家では稽古は夜。遊ぶ時間を確保してくれた両親に感謝している」

 そんな伸び伸びとした環境で育まれた感受性こそ、プロの演奏家としての表現力の源泉。自然をテーマにした曲を演奏する時には、強い日差しや潮の香り、春に芽吹く草花など横須賀で過ごした少年時代の記憶が脳裏に浮かぶという。

「ワイン」になった曲

 横須賀で初となるリサイタルについて、「すごく不思議な感覚」という栗原さん。「まだワインになっていないぶどうジュースのままの曲は弾きたくない」と自身の考えを述べ、これまでに幾度となく演奏してきた「自分の言葉として伝えられる曲」を披露する。

 午後2時開演。チケットは2千円で全席指定。問い合わせは横須賀芸術劇場【電話】046・823・9999。

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