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横須賀・三浦 社会

公開日:2025.12.05

芦名浄楽寺
滞在型観光のハブに
「宿坊」切り口に宿泊事業

  • 静謐な情緒を醸す宿

  • VRゴーグル体験

 地域一帯をホテルに見立て、活性化を目指す黒岩祐治県知事の肝いり事業「地域まるごとホテル@三浦半島」で採択を受け、秋谷・芦名・佐島エリアで事業を展開している浄楽寺は、同寺敷地内にある築120年の古民家を改装した宿泊施設「TEMPLE STAY KAN〜観〜」を11月29日にオープンさせた。本来は僧侶や巡礼者が修行や宿泊をする「宿坊」を軸に、地域の事業者らと協力し、食や体験などを提供。観光客を地域全体へと誘客することで、日帰り型観光からの脱却を目指す。

 同寺は、鎌倉時代の有力御家人であった和田義盛創建。安置されている阿弥陀三尊、不動明王、毘沙門天(いずれも国重要文化財)は、義盛が発願し、運慶が造像したなど、武士の祈りを受け継ぐ寺院だ。運慶はこの造像で、彫眼と玉眼を使い分けるなどの新たな表現に挑んだことから、同寺は「決心の地」と位置付けられている。また、同寺は「日本近代郵便の父」前島密の墓所も有す。

 事業の核となるのは、これらの歴史的ストーリーだ。戦乱の世を生きた武士たちや偉人に思いを馳せ、ろうそくの明かりだけで運慶仏を拝観する「暗闇参り」=写真=や写経を通じて先人の思いを追体験し、自分自身と向き合っていく。VRゴーグルを用いて、かつての運慶や義盛公の発願をなぞるユニークな試みや読経体験などもある。

 また、前島密の精神にちなみ、日頃の感謝の言葉を葉書に書いて投函する「感謝はがき」や、鎌倉彫体験なども用意されている。

 食体験では、江戸時代末期の豪農・浜浅葉家の当主が残した「浜浅葉日記」に記される食材や風習などに基づき、食文化を再現。秋谷のイタリアンレストランがジビエ料理などを交えながら提供するほか、寿司握り体験、近隣で採れる草花を煎じた「野草茶」などを用意している。

 考案者の土川憲弥副住職は「三浦半島の歴史や文化を『武家文化800年』という統一コンセプトで捉え直し、観光促進につなげていければ」と話し、ビジネスモデルを三浦半島全域に横展開していきたい考えだ。

 宿泊は一日一組限定で貸切。詳細は同寺HPを確認する。

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