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三浦 人物風土記

公開日:2012.12.14

郷土漬物研究会の会長を務める
松本 幹夫さん
初声町在住 70歳

妥協しない、こだわりの味





 ○…味と安心を両立させた三浦の浅漬け「まいるど」。添加物をできるだけ使わず、大根本来が持つ旨みを引き出したやさしい味が特長。名前の由来は「初代会長が発した一言。優しく味にとげがない、という意味からこの名前になった」。市内の農家10件でつくる郷土漬物研究会の5代目会長を務める。日本農業賞優秀賞・神奈川県知事賞を1996年に受賞している。





 ○…同会は、「特長のあるものを売らなくては生き残れない」という危機感から1993年、市内の農家が集まり結成。三浦ならではの大根の浅漬け開発に取り組んだ。気候の変化や大根の育ち具合、調味料の配合など試行錯誤が数年続く。喜ばれるものを作ろう―。そんな強い思いが心の支えとなり、「まいるど」は生まれた。「立ち上げから軌道に乗るまでは約3〜4年かかった。これだという味に落ち着くまでが苦労した」と振り返る。





 ○…青首大根は約50種類ある。12月下旬になると、大根の選定を目的とした味比べを行う。「まいるどには、基本となる味を定めている。大根の種類は豊富。変えないことも大事だと思うが、良いものがあれば取り入れていく柔軟さも必要だろう。試行錯誤を続けていき、進化させていくことも大事」。





 ○…海岸沿いにズラリと並ぶ天日干しされている大根の光景は、三浦の風物詩として定着している。11月から12月は最も忙しい時期。取材中も注文の電話や、お客の対応にと慌ただしい。カメラを片手に買い求めに来る人もいる。シーズン中は、1日に1ケース20本入を150〜200ケース分を出荷する。「野菜は生き物。収穫して出来上がるまで気が抜けない。その反面、満足のいく出来になったときの喜びは大きい」と話す。今後の展望について「三浦の浅漬けとしてこれからも伸ばしていけるよう努力していきたい」と前を向く。夫婦ふたり暮らし。孫は7人。


 

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