第21回東関東吹奏楽コンクールに出場する初声中学校吹奏楽部の顧問を務める 鈴木 順子さん 初声中学校教諭
「厳しさは期待の裏返し」
○…先月行われた県吹奏楽コンクール中学Bの部では、存在感を見せつけ出場した35校の頂点である最高位の朝日新聞社賞を獲得した初声中学校吹奏楽部。前任者から引き継ぎ、部を率いて5年目の快挙に「まさか獲れるとは」と謙遜しながらも、子どもたちの躍進に思わず顔をほころばす。「地域、OB・OG、保護者の支えや理解があってこそ。1人の力では成し得ることはできません」
○…幼い頃からピアノに親しみ、音楽大学へ進学。プロの演奏家やピアノ教室の講師を志すか、一般企業に就職するか。卒業後の進路の選択肢はいくつかあったが、中学時代の恩師の勧めで音楽科教員の道を選び、これまで逗子市や葉山町の中学校で教鞭を執ってきた。最初は音楽科教員=吹奏楽部顧問というイメージに戸惑いもあった。「ピアノは基本1人で演奏するもの。異学年が集まり奏でる音をどうやって1つにまとめるべきか」。手探りからのスタートだった。
○…4年連続の東関東大会出場。快挙の秘訣を問うと、「『聞いた人が心地良くなる音、自分たちが満足できるパフォーマンスを大事にする。演奏する時は皆、役者になろう』と繰り返し指導しています」と話す。過去には納得のいく演奏ができず苦汁をなめたコンクールも経験した。「金賞を獲りたい」という強い気持ちも必要だが、あまり欲に縛られ過ぎてもダメ。「いい演奏をすれば結果は自ずとついてきますから」
○…「褒められた時は指導を諦めた時と思ってくれていい」。あえて厳しく接するのは現状に慢心して、向上心を無くしてほしくないという期待の表れから。そのせいか、目標に向かって奮闘する生徒を見守る眼差しは温かく、我が子の頑張りを喜ぶ母親のよう。「昨日より、今日よりもっと上手くなりたい」という気持ちが途絶えない限り、何度でも成長できる。厳しい口調の裏側には熱いメッセージが込められていた。
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