三浦 人物風土記
公開日:2018.07.06
上宮田小学校の図書ボランティアグループ「ひまわり」の代表を務める
亀山 千夏さん
上宮田在住 47歳
本が育む人と街
○…子どもの読書推進をめざし、上宮田小学校児童の保護者や周辺住民らでつくる図書ボランティアグループ「ひまわり」。30人を超える地域の大人たちが集まり、読んでほしい一冊を吟味しては子どもたちに届けてきた。年3回の読み聞かせや各学級の図書コーナー「ひまわり文庫」は、今や同校の慣例。心待ちにする児童や教員は多い。
○…仕事も地域活動も人脈も、今となれば本なしでは成り立たないが、実は幼少期から長らく本嫌いで読書は苦行だった。ひまわりに入ったのも学校生活に不安のあった子を案じてのことで、「最初は読書の良さが分からなかったの」と苦笑いする。しかし、心境の変化は児童たちとふれあうなかで次第に表れ、地元在住の夫婦絵本作家との出会いもまた、本の魅力や読む楽しさを教えてくれた。
○…たとえば、「人と会ったらあいさつをしましょう」―という事柄を子どもたちに伝える際、「しなさい」とただ一方的に言い聞かせると反発心をあおることもあるが、本は読み手の教師、親、友人となって「なぜ大切なのか」を説く。ボランティアは両者をつなぐいわば黒子。「やるなら楽しく」と代表自ら盛り上げ役に徹し、絵本や児童書の選書にとどまらず、図鑑の読み聞かせや手づくり紙芝居、興味を引く手製の小道具など自主的な活動を展開する。
○…地道な取り組みは市域に伝播。今夏の平和啓発イベント「ピースデー」の出演に白羽の矢が立ち、「皆の活動が認められたのだと思う」と喜びを噛みしめる。戦争を知らない親とその子どもたちに語り掛けるのは、「日常のありがたみや感謝の心」。恐怖や悲しい歴史から目をそむけるのではなく、まずは平和の尊さを知るところから。本の力、読書の力を信じ、一歩ずつ歩みを進める。
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