日本山岳会学生部ザンスカール遠征隊に参加、未踏峰「PT6165」へ初登頂を果たした 飯田 祐一郎さん 日本大学生物資源科学部4年 22歳
「その先の楽しさ」求めて
○…「今まで経験がないような嬉しさがこみ上げてきた。言葉にできない感じ」と、山頂を目前に控え標高6000mの稜線に立った時のことを振り返る。登頂は9月2日。標高5400m付近に設置した山頂への最終基地・アタックベースキャンプを午前1時半に出発、5人の隊員で力を合わせて傾斜角70度近い雪壁を登り、7時20分頃に6165mの頂を制した。
○…国外での登山は初の経験。「富士山や剱岳などで訓練を積んだけれど、未知の標高への対応には不安もあった」と話す。道中では、標高5100mのベースキャンプに着いた時に軽い頭痛や吐き気を感じたものの、少し休むと順応できた。「意外と大丈夫そうだな、と。もちろん油断はしませんでした」。登頂した「PT6165」周辺は近年までインド政府によって入山制限されていた秘境。「車で入れない道を10日ほど歩いたんですが、途中にいくつも村がありました。太陽光発電で電気を使っていたり、コーラがあったことには驚きましたよ」
○…登山好きな父親の影響で、小さい頃からアウトドアに親しみ、中学で山岳部に入部。高校では陸上部に所属し、180cmを超える身長を生かして砲丸投げを専門とした。「当時は体重が20kg重かった。山登りに大胸筋は邪魔です」と笑う。高3の冬、八ヶ岳の赤岳へ登ったことをきっかけに山への想いが再燃。現在は日本大学山岳部の主将を務め、4年間で300回以上山に登ったという。
○…好きな言葉は「苦あれば楽あり」。「普通は『楽あれば苦あり』ですけど、母が逆をよく口にしていて。自分はこっちの方ががしっくりきます」。今後も山の楽しさを肌で感じるために登山を続ける。「大きな登山計画を考えているけど、今回の報告書が片付いてからかな」と白い歯を見せた。
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