難病患者と家族の会「たんぽぽの会」の会長を務める 古川 加奈子さん 湘南台在住 55歳
タンポポは前向き
○…はじめは腹痛。トイレに籠もる時間が少しずつ長くなり、便に血が混じるようになったが、病院は避けてしまった。「10代の女性には下の話は恥ずかしくて」と苦笑しつつ振り返る。一向に良くならず、渋々受診した病院で告げられたのは耳慣れない病名「潰瘍性大腸炎」。大腸の内膜が炎症を起こす原因不明、治療法も確立されていない指定難病だった。
○…現在国内に約18万人の患者がいるが、当時はまだ認知度も低く、周囲の理解も得にくかった。激しい腹痛や繰り返す下痢、貧血。悪化すれば大腸摘出や合併症の危険。いつ爆発するか分からない爆弾を抱えるような日々。部屋で一人泣いたことも一度や二度ではない。そんな中、結婚を機に越した藤沢市で紹介されたのがたんぽぽの会だった。会のモットーは「難病をかかえながらも前向きな生活を送ること」。初めて会った自分以外の難病患者の姿の明るさに驚き、温かさに胸を打たれた。幼い息子2人が会に同行すると、自身の孫や子どものように可愛がってもらった。難病に対する特別扱いのないフラットな関係と、自然な助け合い精神に助けられ、現在会長として思いを受け継ぐ。
○…祭囃子に心が躍る浅草下町育ち。目の前に困った人がいたら助けるのは当たり前の江戸っ子性分。日々の癒しは、愛亀との触れ合い。周囲への感謝は自筆の手紙に込める。「送る方に合う便箋や切手を選ぶのも楽しくて」と微笑む。
○…会の活動で感じるのは、病気の辛さは人それぞれで、大小などの比較ができないこと。「難病は誰がいつ罹るか分からない。まずは知ってほしい。困ったらいつでも訪ねて」と穏やかに話す。「たんぽぽの花は踏まれても挫けず前を向く」と朗らかに笑った。
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