23日の湘南台文化センター星空のコンサートで演奏するトランペット奏者 アレクセイ・トカレフさん 下土棚在住 57歳
心に導かれるままに
○…生演奏を聴きながらプラネタリウムの星を楽しめる湘南台文化センター人気イベントへの出演は8回目。「大ホールとは全く違う魅力がある。お世話になっている藤沢の方への恩返しでもあるが、私自身このコンサートが大好き」と満面の笑み。名門サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー・アカデミー交響楽団の元首席奏者として現在も全国を飛び回る人気トランペット奏者の素顔は朗らかで気さくだ。
○…ロシア・サンクトペテルブルグ出身。「父の所属する海軍に憧れるわんぱく小僧」は、13歳の時、学校で募られた演奏希望者に好奇心から手を上げ、「あふれすぎた元気を全てトランペットに吹き込むように、私の新たな人生が始まった」と茶目っ気たっぷりに振り返る。楽器奏者としては遅いスタートだが、初めから感覚で「こうやって吹けばいいというのがなんとなく分かった」といい、旧レニングラード音楽院在学中から演奏技術と芸術性が高く評価され、世界的な人気を誇る同楽団に入団。世界を周り名演奏を披露した。
○…97年の来日公演でロシア語通訳をしていた妻・明子さんと運命の出会いを果たす。子どもの誕生を機に、1999年退団。愛妻の故郷へ住居を移し約20年、「愛すべき町」と藤沢を称す。特に魅了されたのがロシアと異なる四季折々の景色。「この時期は頭を垂れる金色の稲穂の海が美しい」とうっとり。「採れたてのピカピカトウモロコシ」「定期演奏会で共演した地元の高校生と熱心な先生」など魅力を語れば尽きない。
○…何事においてもインスピレーションの導きを大切にしてきた。「日本、藤沢での沢山の出会いと経験を通じ、私のインスピレーションはますます広がっている。これからが楽しみ」