「藤沢ジュニアソフトテニスクラブ」の代表を務める 鈴木 雅史さん 亀井野在住 46歳
垣根なく、皆一緒に
○…コートに子どもたちの笑い声が響く。障害がある子もない子も、一緒になって楽しめる場を目指してきた。根底にあるのは、ソフトテニスを通じて「障害の垣根を超えて子どもたちが認め合う後押しをしたい」。そんなささやかな願いだ。
○…「普通の子と変わらない。ただ成長が遅いだけ」。ダウン症の子どもと接するにつけそう思う。自らも同じ障害がある娘を持つ3女の父。たしかに同年代の子どもと同じように振舞うことは難しいかもしれない。でも、「心がきれいなんですよ」。ダウン症児は取り繕うことができない分、喜怒哀楽が素直だ。ご飯を作ってあげると「美味しいね。ありがとう。パパ大好き」。屈託のない笑みとともにそんな言葉が自然とこぼれ出る。心臓の障害で出生とともに生死の境をさまよった娘は今や家族一のおてんばに育った。「子どもが強く生きてる。だから自分もがんばらなきゃ」とほほ笑む。
○…中学高校とソフトテニスに打ち込んできた。母校の六会中学校は、かつて全国大会にも駒を進めた強豪校だが、時代の移り変わりとともに競技そのものが下火に。そこで「強い藤沢をもう一度」と6年前にクラブを発足。活動を重ね、卒業生には関東大会や県大会で優秀な成績を残す選手も出てきた。「伝えてきたことは間違っていなかったかな」。子どもたちの活躍は何よりの励みだ。
○…今後は活動を拡大しながら、多世代交流も視野に入れる。大人も交え、多世代に障害への理解を広めたいとの思いからだ。小学生から大学生、社会人、高齢者がソフトテニスを通じて一つになる。壮大な構想も、逃げずに向き合えば着実に前に進む。競技を通じて得た経験則を、今後も生かしていくつもりだ。
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