藤沢 人物風土記
公開日:2023.03.10
パリ五輪にアサガオの種を届ける「あさがおプロジェクト」の実行委員長を務める
齋藤 泰子さん
藤沢市内在住 55歳
夢と希望、芽吹く日信じ
○…「深海魚みたいだったんですよ。私たちの活動って」。東京五輪でのボランティア活動を振り返り、ぽつりとつぶやいた。江の島で活動するシティキャストに登録するも無観客となり、本来の活動には従事できず。自主事業として臨んだアサガオの世話も、新型コロナ禍の影響で宣伝を自粛し細々と実施せざるを得なかった。パリ五輪へ種を届けるプロジェクトは、仲間と育んできた活動がようやく日の目を見る機会でもある。
○…大手物流会社に勤めていた45歳のときに転職を決意。同じタイミングで退職した後輩と「7年後の五輪で、お互い何かを残そう」と約束したのがボランティア活動の原点だ。大きな大会であれば、志を共にする仲間と出会えるに違いない。そんな思いから都市ボランティアに応募した。無観客で本来の活動は叶わなかった。紆余曲折もあった。それでも「五輪で使われたアサガオの種を未来に残したい」という発想に賛同が広がり、県や日本セーリング連盟の了承を得て実現の道筋ができるまでになった。
○…2月下旬に市内で開かれたシンポジウムでは170人近い来場者を前に活動の成果を報告。ゲスト出演した橋本聖子参院議員とのパネルディスカッションにも臨み、活動の魅力をPRした。「想像以上のご縁に恵まれた。ボランティアを通じて藤沢を一層好きになっている実感がある」とほほ笑む。
○…来年のパリ五輪には自ら渡仏し、プロジェクトの行く末を見届ける考えだ。子どもたちが育てた種から再び花を咲かせ、思いをつないでいく。夢と希望の萌芽を、次代に伝えることが今の原動力だ。でも実はその先の夢もある。「いつか3回目の五輪が藤沢に来て、このアサガオの花が会場に咲いたら」
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