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藤沢 経済

公開日:2023.03.31

(株)NERV(ネルフ)
起業家マインド、後進へ

  • 塾生の中田さんと今後の活動について話す久野さん(左)

若手向け育成塾、今春進展も

 湘南を起業の聖地に――。そんな青写真を掲げる異色の実業家が昨春、辻堂で若手起業家向けの育成塾を開講した。(株)NERV(ネルフ)代表の久野孝稔(46)さん。2期が始まる今春からは健康・医療分野の研究開発拠点「湘南ヘルスイノベーションパーク」(湘南アイパーク)に入居し、バイオ関連の起業支援に力を入れる。「湘南を世界の知見が結集する場所に」。描くのはそんな未来図だ。

     ◇

 「起業人からそこに至るまでのマインドを学ぶ貴重な機会。起業は選択肢のひとつだが、わくわくしている」。大手製造業の事業開発担当をしている中田匡祐さん(29)さん。仕事の領域を広げるため個人として育成塾の門を叩いたという。

 育成塾は社会に「新たな価値」を生み出す原石に独自カリキュラムを受講してもらい、具体的な行動に結び付けてもらうことを目的に開講。1期目には3人が入塾し、巣立ちを後押しした。

 久野さんは元茨城県庁職員で、31歳の時、ロボットスーツ「HAL」を開発したベンチャー企業「サイバーダイン」に転職。その後、湘南ロボケアセンターを立ち上げ、現在は慶応大湘南藤沢キャンパスの特任助教などを務めている。

 後進の育成に力を注ぐのには、湘南アイパークの設立に携わった経験が大きい。同パークは元武田薬品工業湘南研究所を開放して2018年に開設。現在、100を超える企業団体が入居しており、湘南の潜在能力を飛躍的に高めた。一方、地域に目を向けた時、「起業を支援する仕組みがなく、志す人が東京に流れてしまう。起業のムーブメントを湘南から作りたい」と思い至った。

 折しも、日本経済を回復軌道に乗せたい政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけ、今後5カ年で戦後の創業期に次ぐ第二の創業ブームの実現を目指す。27年度には投資額を10兆円規模に引き上げ、スタートアップを10万社創出し、その中から評価額が10億ドル以上のスタートアップ企業を100社創出する計画だ。

 久野さんは言う。「起業家が育ち、事業所を構えれば地域が潤い持続的な発展が可能になる。湘南発の『エコシステム』を目指したい」 (了)

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