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藤沢 社会

公開日:2023.10.20

城・稲荷地区
市内有数の水田 保全に課題

  • 市内有数の水田地帯として保全の取り組みが強化されている城・稲荷地区

 秋の深まりとともに多くの水田で収穫が行われ、藤沢市内有数の水田地帯である「城(たて)・稲荷地区」では今年も黄金の稲穂が実った。一方で同地区では、農業者の高齢化や後継者不足などから将来に向けた保全が課題となっている。市では耕作環境の改善や新規就農者を呼び込むなど、水田の維持強化策に取り組むとしている。

 国道一号線の湘南バイパス藤沢インターチェンジから近く、周辺で圏央道未開通区間の道路整備も計画される同地区。市農業水産課によると城稲荷水利組合に所属する農業者は約120人で、25haほどの水田で年間約100t(面積換算)の米が生産されているという。市が昨年行ったアンケートでは、同地区農業者の年齢別割合は70歳以上が56%を占め、このうち85・4%の農地で後継者について「未定」「不明」と回答した。

 同地区は1反(千平方メートル)ほどの小さな区画が多く、大規模な水田に比べて収益性が低く、米を販売して得る金額よりも生産費用の方が高くなるケースもある。離農者の増加は耕作放棄地が荒廃する懸念もある。

 高齢化や後継者不足から、昨年3月には土地の新たな利活用も視野に地権者107人から農業振興地域の指定解除を求める要望書が市に提出された。市側は、土地活用の指針である「市都市マスタープラン」で優良農区域として保全に努める地域に指定されていることから、指定解除はせず耕作環境の改善や担い手不足の解消に取り組む方針を示した。

市、耕作環境改善や就農支援強化

 支援策として、市では昨年度から学校給食用に出荷する同地区産を含む市内産の米を約10tから約60tに増加させた。2021年からは酒米の生産も始まり、今年6月には100%藤沢産米を使った日本酒も販売された。ほかにも、有機農業などに取り組む農家には奨励金も支給している。

 同課には新規就農希望の問い合わせが年間50件程度あり、畑作を希望する人にも水田耕作を提案。22年から2人の新規就農者が同地区で稲作に取り組んでいる。

 稲作では、コンバインなどの機材も必要になるため、設備投資の費用負担も大きい。県内有数の水田を持つ平塚市では、農家が集い法人を設立して農機具の共同利用や育苗や乾燥などの作業を受託する「湘南ライスセンター」などの事例もある。同課では「効率化につながる区画の拡大や排水設備の強化、法人の設立など、農業者の要望を聞きながら保全に向けた取り組みを進めていきたい」と話す。

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