市立第一小学校で「教室でアート展」と題した作品展を開いている 中村 未来 さん 材木座在住 46歳
「気軽にアートに触れて」
○…石やアルミ板などの上に描画し、印刷する版画「リトグラフ」を中心に、創作活動を行っている。子どもが気軽に芸術に触れる場を作ろうと、21人のアーティストと共に、息子・尚大君(小4)が通う市立第一小学校で作品展を開催中だ。「学校と保護者、子どもが輪になって、アートの面白さを感じてほしい」と穏やかな表情で語る。
○…東京都新宿区生まれ。両親は美術鑑賞が趣味で、家には数多くの画集が並び、展覧会にも頻繁に足を運んだ。中学に入ると「自分も何か作ってみたい」という欲求が自然と芽生え、絵画教室に通うように。女子美術大学付属高校・短大と進み「学生時代は手が上がらなくなるくらいデッサンした」と鉛筆画や水彩画などの腕を磨いていった。短大卒業後は美術館職員として勤務する傍ら、油絵やアクリル画を制作。「作品の幅をもっと広げたい」と始めたのがリトグラフだった。「刷る瞬間の緊張感と、自分の思い描く世界を表現できることに魅力を感じた」と振り返る。
○…幼い頃、美術館に足を運ぶと「理由は分からないけれど、世界に引き込まれて足が動かなくなるような作品」に出合うことがあった。今回企画した「教室でアート展」でも、子どもたちにそうしたアートとの邂逅を楽しんでもらいたいという。「芸術の敷居が高くなっているけれど、もっと身近なもの。まずはアートを楽しむ心を育んでほしい」と目を輝かせる。
○…26歳で結婚し、4年後に鎌倉へ移住。朝4時半に起床し、子育てしながら版画制作をする忙しい日々だが、潮干狩りが息抜きだという。「友人と『アサリ部』を結成するほど大好き。海を眺めると次の作品のアイデアも浮かんでくる」。今後も幅広い世代に心震わす作品を届けていく。