毎週土曜午前9時から11時30分まで、市内雪ノ下にある横浜国大付属鎌倉中学校のグラウンドには、同校陸上部員に加え第一、御成、第二、深沢中の生徒たちが集まる。5人の指導者の顔ぶれも、横国や第一の教諭に有志とさまざまだ。全体練習だけでなく、指導者が分担して短距離、長距離など種目別のトレーニングも実践している。
「子どもたちに陸上を教えられるのは楽しいですね。生徒からエネルギーをもらえる」。そう語るのは、市陸上競技協会の強化部長で、第一中学校の校長・池田克行さん(59)。手広や深沢中では陸上部顧問だったが、第一中では陸上部自体がないため現場を離れて久しい。
スポーツ庁や文化庁が示した方針を受け、市陸上協会としても1年かけて部活動の受け皿になれないかと議論を深めてきた。その中で、2023年4月から休日の部活動を行わないことを決めた国立の横国大鎌倉中の陸上部顧問からも、池田校長は相談を受けた。休日も練習をしたい生徒たちと、働き方改革を進める学校-。そして新たに誕生したのが、「鎌倉シニア陸上クラブ」だ。
同クラブは双方の要望を踏まえ、土曜日に活動のない横国大鎌倉中がグラウンドを活動場所として提供し、市内在学や在住の生徒と、地域の大人たちによる指導で練習が実現している。
複数校が参加
クラブには現在、横国をはじめとする市内5校の中学生約50人が在籍。県大会3位以内を目標に掲げる奥平佑香さん(横国大鎌倉中2年)は土曜日も練習できることに、「すごく感謝している。他校の人からもいい刺激をもらっている」。参加者の中には、学校に陸上部がない生徒もいる。小学生の頃に陸上クラブに所属していた亀井佑伍さん(御成中1年)は、「中学ではバスケ部。陸上も続けたかったので、これからもここに来たい」と話す。
指導側においても、競技経験者の30代男性教諭は、勤務する学校に陸上部がないため他の部活を担当。土曜の陸上クラブの指導は勤務外での活動になるが、「陸上は趣味。自分の経験を中学生に還元できるいい機会」と表情は晴れやかだ。池田校長は、「教員以外を含めた地域の陸上好きの大人たちで支える仕組みにしていきたい」と青写真を描く。
生徒の意向調査へ
市教委では、教員や各種協会などと今年5月から、部活動の地域移行に関する検討委員会をスタートした。「現状で何か方針が決まっているわけではない」とし、まずは中学生に対して意向調査のアンケートを実施予定。地域団体への移行や複数校での合同練習、外部指導者への委託など、会合を重ねて教員の負担軽減につながる方法を探っていく。
![]() |
![]() |
|
|
<PR>