世界を転戦しているプロボディボーダーの鈴木彩加さん(23)=美住町出身=が、10月上旬まで行われた世界最高峰のツアー「APBワールドツアー」で、日本人初の世界年間チャンピオンに輝いた。
4戦を戦い、各選手の好成績3戦分のポイントで年間王者を争った2018年度シーズン。鈴木さんは初戦の5月のチリ大会で優勝、8月のオーストラリアで準優勝と順調な滑り出しを見せた。
しかし、3戦目の9月のポルトガル・シントラでは準決勝敗退。ポルトガル・ナザレで10月に行われた最終戦はランキングトップで迎えたが、元世界王者のアレクサンドラ・リンダー選手にも年間王者獲得の可能性がある中での試合に。鈴木さんは3位の結果だったが、試合後、アレクサンドラ選手とポイントが並び、史上初の年間王者決定戦「スーパーヒート」を実施。波のコンディションが悪い中でも、鈴木さんは「どんな波でも安定して力を出す」という強みを生かし、競り勝った。
帰国後、「うれしい。やっと夢が叶えられて今はほっとしている」と振り返った。
「夢は叶うって実感した」
昨季、あと一歩のところでワールドチャンピオンを逃し、今季は「世界王者」を目標に掲げ、シーズン前に毎日波に乗り続けた鈴木さん。
シーズン中は海外に拠点を移し、”世界を旅するように”参戦。食事・栄養からメンタルの管理まで自身で行った。それでも、最も苦しかった3戦目の後、鈴木さんはある人物へ「世界王者を目指すプレッシャー」についてメッセージを送り相談した。その相手は、鈴木さんが高校時代から勤務し、現在も帰国時に訪れトレーニングを行っているハヤシスポーツクラブ(若松町)のトレーナー・深井諭さん(37)。深井さんからの「プレッシャーも想定内のはず。世界一を目指せる今の立場に感謝して、今の彩加のボディボードを」との言葉を胸に最終戦に挑み、栄光を手にした。深井さんは「世界王者になれたのは奇跡ではなく、今までやってきたことが実った結果」と称える。
心技体を整えて
母親の影響を受け、小学生の頃からボディボードに夢中になった鈴木さん。国内プロツアーで初優勝を果たした2010年に、史上最年少の15歳でプロ転向。高校は藤沢西高校に通った。
しかしプロ転向後から5年間、大会で勝てずスランプに陥った。その際、深井さんの指導のもと、肉体改造とともにメンタル面をネガティブからポジティブへと変えるトレーニングを実施。心技体が整い、世界で戦うアスリートに成長を遂げた。
次世代に魅力発信
「人生をボディボードに本気で捧げて、夢って叶うんだって実感した。諦めなくて良かった」と振り返る鈴木さん。今後は、その思いを次世代の子どもたちに伝えたいという。来季は試合に出場しつつ、「自分の競技中の動画やライフスタイルを発信するメディアを作りたい」と展望を語る。さらに「ボディボードを2024年の五輪競技にしたい」と意気込み、競技普及のための次なる夢の実現を目指していく。
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