茅ヶ崎医師会の産業医・中尾誠利さん(50)=写真=は 10年にわたり「医療ボランティア」として茅ヶ崎から5時間をかけ、南相馬市小高区へと毎週通い続けている。南相馬市立総合病院附属小高診療所をはじめ、現地の病院で外科・内科の診療を続けてきた。
小高区との縁は2011年2月頃から。医師不足だった小高病院の募集に申し込み、春からの赴任が決定していたタイミングでの震災。「ここで逃げては男がすたる」と、5月末からボランティアとして現地に入った。それから10年が経過。いまだ医師不足は解消されていない。
茅ヶ崎市よりも広い小高区に、医師が中尾さんのみ、という時間帯もある。そういう時に、地域のつながりがなくてはならない。「ハチに刺されアナフィラキシーショックを起こした人がいました。救急車を待っていては間に合わない。そんなときに助けていただいたのが、軽トラを動かしてくれた住人でした」
選択肢が限られる状況で、地元住民に助けてもらう経験をたくさんしてきた。「震災発生後に営業を続け、地域を支えたのも、地域の商店でした。地域の絆がないと、大きな震災を乗り越えられないと思います」。そして支えてくれる地域への「ありがとう」という思いこそが、中尾さんを動かす原動力となっている。
大切にするのは笑うこと
中尾さんは南相馬市だけでなく、千葉県の病院での勤務、茅ヶ崎医師会産業医の仕事も続ける。昨春にはJMAT(日本医師会災害医療チーム )としてダイヤモンド・プリンセス号で新型コロナの対応をした。現在も発熱外来、PCR外来を続けている。「この1年は別次元の忙しさとなっている。まさに『緊急事態』を肌で感じている」と話す。
そんな中ずっと大切にしているのは、笑うことだ。「深刻な顔をすると余計に疲れてしまう。やっぱり笑っていたほうがいいでしょう。免疫にもいいですから」。いつも首から下げている、患者らとのふれあいの印…たくさんのキーホルダーとともに、笑顔がきらりと輝く。
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