茅ヶ崎・寒川 コラム
公開日:2022.09.16
学芸員のイチ推し!
-連載 Vol.1-
湘南を切り拓(ひら)いた最古の武士
まずは左の絵にご注目ください。馬上で弓矢を構える人物は、鎌倉権五郎景正(かまくらのごんごろうかげまさ)。いまから約950年前に生まれた、湘南最古の武士です。この絵をよくご覧いただくと、景正の右眼には矢が刺さっています。彼は16歳の頃、主君・源義家(みなもとのよしいえ)に従い、東北地方で起こった「後三年合戦(ごさんねんがっせん)」に加わって、敵の矢を受けて右眼を失ってしまったのです。
景正はその後、現在の茅ヶ崎・藤沢市域を「大庭御厨(おおばのみくりや)」として開発し、地域の神様として崇(あが)められるに至りました。南湖をはじめ湘南各地に点在する「御霊神社(ごりょうじんじゃ)」は、彼を祀(まつ)る社(やしろ)です。「後三年合戦」から約100年後、彼の一族であり、円蔵を本拠地とした懐島景義(ふところじまのかげよし)が、源頼朝(みなもとのよりとも)の挙兵に従って「鎌倉殿(かまくらどの)」の誕生に立ち会います。
景正と景義、武士の世が始まりつつあった時代、この湘南・茅ヶ崎に生きた二人の人物。その生きざまをより深く知りたい方は、現在博物館で開催中の企画展「『鎌倉殿』の時代の茅ヶ崎」へ、ぜひ足をお運びください。
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