平塚市は現在開会中の市議会定例会で、市民病院が放射線治療システム「リニアック」の購入費6億2千万円を、2017年度までの債務負担行為として計上した病院事業会計の議案を上程している。
リニアックは、がんの放射線治療に用いる装置。議会での市答弁によると、市民病院が04年に導入した現在の放射線治療装置は老朽化し、今年度末には保守部材の供給も停止、来年度以降の保守サービスが点検のみのレベルになるという。
市民病院は今年度当初予算案で、新棟建設が完了する18年度にリニアックを購入する計画を立てていた。しかし、現行の放射線治療機が17年4月に解体する南棟に設置されていることや、新機種の導入手続きが発注から約1年間を要することもあり、購入計画を前倒ししたという。
購入予定の装置は、現行機の通常照射に加え、IMRT(強度変調放射線治療)と定位照射という3種類の治療ができるなど、高度な性能を持つ。耐用年数は10年で、年間維持費は5500万円と見込んでいる。
一方、リニアックの更新には、購入費と毎年10年間の保守点検費を含め11億円以上の巨費が投じられることになり、市民病院の経営健全化を求める声はより一層強まりそうだ。
市民病院は今年3月、業績悪化により14年度の運転資金がショートするとして、市の一般会計から5億円の融資を受けた。さらに市は15年度当初予算で10億円の融資を計上、新棟オープンまでに総額35億円を貸し付ける意向だ。
融資は、市民病院が市に提出した経営改善計画書の順守が条件となっているが、今年10月までの累計収支は昨年度比で収益は増加しているものの、人件費と材料費のいずれも増加。収支好転の見通しは立っていない。建て替え工事に伴う騒音や振動なども入院患者数に影響しているという。
リニアック購入や病院経営に関して井上純一副市長は議会で「必要な人は雇用し、必要な機械は買って、詰めるところは詰める。収益を上げる部分もあり、全体バランスをとって資金繰りの状況を踏まえた経営を(病院に)お願いしているところだ」と述べていた。
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