厚生労働省が普及・啓発を進める「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)を考えるセミナーが8日、市保健センターで開かれ、医療・介護関係者80人超が参加した。
セミナーは市医師会・ひらつか地域介護システム会議・市在宅医療・介護連携支援センターの共催で初めて開かれた。
ACPとは、もしもの時に備え、どのような医療、ケアを必要とするかなどを家族や医師と繰り返し話し合う取り組みを指す。命の危険が迫った状態では、およそ75%の人はこれからの医療やケアについて自己決定や意思表示が困難になるといい、個人の尊厳を守るためにACPの啓発が進んでいる。厚労省では「人生会議」という愛称でACPの周知に力を入れている。
セミナーでは、カードを使った「もしバナゲーム」でACPの普及活動を全国で展開する(一社)Institute of Advance Care Planningの大川薫医師と原澤慶太郎医師が講師を務めた。
もしバナゲームは「家族と一緒に過ごす」「私を一人の人間として理解してくれる医師がいる」などと書かれた36枚のカードを5枚ずつ取り、新しいカードを数回めくり、「余命半年〜1年の自分が望むことを3枚に絞り込む」というもの。
「親友が近くにいる」「葬儀の準備をしておく」「苦痛を伴う医療は受けない」など内容はさまざまで、ゲーム後、参加者らは3枚のカードを選んだ理由をグループごとに発表し合った。
大川医師によると、日本でACPの概念が浸透しない背景として「終末期の医療やケア、死後の身辺整理などを話し合うのは『縁起でもない』という空気が大きく存在する」という。
もしバナゲームは結論を出すことが目的ではなく、大川医師は「人の考えは年齢や環境が変われば揺らぐもの。そこを肯定し、話し合いを繰り返し続けていくことが重要となる」と話していた。
セミナーに参加した、介護支援専門員の鳥海克巳さん(53)は「病院には終末期の方もおられ、ACPの必要性を痛感している。セミナーで学んだことを現場で生かせたら」と話していた。
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