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W杯直前 日の丸背負い挑めブルーの戦士たち 東海大学ラグビー部 SEAGALES木村季由(ひでゆき)監督インタビュー
4年に一度のラグビーワールドカップ(W杯)があす9月20日、開幕する。初となる自国開催のW杯に先がけ、このほど日本代表最終登録メンバー31人が発表された。本紙では、平塚市に拠点を置く東海大学ラグビー部「SEAGALES」の木村季由監督(53)に代表入りした教え子たちへの思いを聞いた。
選ばれた者たちはみな"for the team man"
W杯を戦う日本代表メンバーには、SEAGALES出身のリーチ・マイケル(神戸製鋼/30)、アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼/23)、北出卓也(サントリー/27)の3選手が名を連ねた。
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リーチは2015年の英国大会に続いて主将に就任。アタアタと北出はW杯メンバー初選出となった。「彼ら一人ひとりが努力を重ね、それが正当に評価されたということ。(教え子が代表入りするのは)監督としてはやはりうれしいですよね」
最終登録メンバーの発表前、木村監督が「鉄板で選ばれる」と太鼓判を押していたリーチ。彼を語るうえで欠かせないのが、前回大会の南アフリカ戦だろう。
優勝候補を相手に世界が驚くほどの善戦をみせた日本代表は後半ロスタイム、3点ビハインドの状況でペナルティを獲得した。位置はゴールポストの正面。キックを選択すれば3点が入り、引き分けで終えられた。
しかし、リーチ主将が選んだのは逆転勝利を掴むためのスクラム。歴史的引き分けを捨てた、敗戦覚悟の勇断に、テレビの実況は「南アフリカよ、スクラム組もうぜ」と絶叫した。20フェーズを超える猛攻の末、日本が逆転した一戦を世界中のメディアが大々的に報じ、「スポーツ史上最大の番狂わせ」「世界を変えた桜の戦士たち」と称賛した。
この一戦を木村監督はラグビーの本場ニュージーランドで観ていた。「試合前、向こうの仲間たちから『ご愁傷様』とからかわれましてね。だから一層日本の逆転勝利はうれしかったですね」。帰国後、大会を終えたリーチには「お疲れ様」とだけ伝えた。「疲れました。少し休みたいですね」と返す教え子の姿は「完全燃焼」そのものだった。
「リーチのキャプテンシーに点数を付けるならば100点ですが、満点だとその上がない。彼は今年のW杯でさらに輝くと思う。満点はまだ先で待っているはずです」
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他選手についても愛情たっぷりに語った木村監督。昨年までSEAGALESの主将を務めていたアタアタに対しては「まだ未知数の選手かも知れませんが、複数のポジションをこなせる選手なので『エックス・ファクター(勝利の決め手)』としてチームの緊急事態で役立つのではないか」と期待を寄せる。
そして、北出について語る時、木村監督はあるエピソードを明かした。「学生時代、フォワードの要として『スクラムは自分の責任』という意識で"for the team"に徹してくれていた」という北出は、卒業後、トップリーグの強豪サントリー入り。その後も地道に練習の日々を送り、ついにはスタメンを勝ち取った。「ある時、サントリーの監督さんから『北出はチームが求めていることを実践しようと誰よりも練習していますよ』と言われましてね。最高のほめ言葉でしたよ」
所属チームが変わっても、ラグビーの精神である「for the team man」を貫く「わが子」たちを親目線で頼もしく思っている。「日の丸を背負うという重圧の中、それでも堂々と世界へ挑んでほしい」
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SEAGALESの監督就任から今年で22年目のシーズンを迎える。53歳となり、監督のその先のことも考えるようになった。「監督としてはあと10年くらい。後継者も育てていかないと」。思えばこの「育てる」ということが木村監督のこれまでの仕事のすべてであったかもしれない。
監督が入部間もない学生に繰り返し言い続けてきたのは「ゴールは4年後にあるのではない」ということ。プロに行く者は10年後にゴールがあるかも知れない、指導者を目指す者は20年後かも知れない。目の前の試合に勝利することも大切だが「ラグビーを通じて環境にアジャスト(順応)する力、謙虚に練習に取り組む姿勢を身につけ、社会で生きていける人間になっていってほしい」。父親のような目でそう語る。
最後に、今年のSEAGALESについて聞くと「今年はチームとして戦うことを例年以上に意識しています。(アタアタがいた)昨年のような爆発力はないですが、チーム力では昨年に勝ります」と自信をのぞかせた。
チームの悲願は、昨年準々決勝で敗退した大学選手権での初優勝だ。「昨年は地元平塚の皆様に壮行会まで開いていただいた。今年こそは日本一を勝ち取り、平塚でパレードをしたいですね」
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