県政報告 全国初の県営水道の将来 県議会議員 森正明(自民党)
昨年12月に行われた神奈川県議会第3回定例会にて、神奈川県営水道事業審議会の設置等に関する条例が可決されました。この審議会では、今後厳しさが増す経営状況に対応するための施設整備のあり方、水道料金の体系や水準について審議されます。そこで、県営水道のあらましと今後の課題について、考えてみたいと思います。
都道府県営の先駆け
湘南地方は早くから発展し、水道の需要も増加しました。水道事業は水道法により市町村が経営することが原則とされていますが、湘南地方の市町村は技術的にも財政的にも単独で水道事業を行う事が困難であったことから、県営による事業実施の強い要望がありました。そこで神奈川県は、昭和8年に全国初の県営による広域水道を創設。給水区域は西は大磯町や平塚市、東は葉山町や逗子町に至る1市9町でした(当時)。周辺地域を次々に編入し、現在では12市6町の283万人に給水する全国でも有数の規模の水道事業となっています。
水需要の増減と努力
高度経済成長期を迎え神奈川県は急激に発展し、人口急増を支える水道事業も水源開発に追われました。一方、人口増加が一段落し、節水機器が普及すると水使用量は徐々に減少してきます。水道施設の耐震化や老朽施設の更新などが喫緊の課題ですが、料金収入が増えない中で賄うことが徐々に難しくなってきてしまいます。
県営水道は出来る限り料金値上げを避けるために、業務の委託化や組織再編による職員の削減など、様々な経営努力を行って、平成18年の料金改定以来、15年間値上げせずに事業運営しています。1カ月間の一般的な使用量である20㎥で水道料金を比較すると全国平均3241円より県営水道は2509円で大幅に安くなっています。
また、職員一人当たりの営業収益や給水人口などの経営効率を表す指標は全国の大規模事業者で比較すると、いずれもトップクラスで非常に効率的な経営をしていると言えます。
これからの県営水道
神奈川県でも遂に人口減少時代が到来しますので、水の使用量の減少傾向に拍車が掛ります。水道施設に関しては、大規模地震の発生の切迫性が年々高まる中で、これまで以上に耐震化を促進する必要があるほか、水道管路などの老朽化に対応して施設更新に一層取り組んでいかなくてはなりません。
県営水道の使用者の皆さんに常に安定的に水道を供給するために、収入が減少する中で、施設整備をどのように行っていくべきなのか。また、財源をどのように確保していくことが望ましいのか。これからの県営水道のあり方を30年程度の長期を見据えて検討していく必要があります。
■企画・制作/森正明事務所【電話】0463・21・8655【FAX】20・2002【URL】www.morimasaaki.net
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