OISO学び塾「美術にあらわれる大磯」で講師を務めた 熊澤 弘さん 大磯町月京出身 48歳
舞台裏の魅力伝える
○…東京藝術大学大学美術館の准教授。生まれ育った故郷で、浮世絵や近代美術のモデルになった大磯の歴史的背景をテーマに講演した。「子どもの頃に見ていた景色を美術史の視点から捉え直し、地元の方々の前で話すという新鮮な経験をさせて頂いた。地域の歴史に詳しい人も美術に詳しい人も、異なる見方を楽しんで頂けたなら嬉しい」
○…美術にのめり込む原点となったのが、医師として懸命に働く母に代わり幼い頃から面倒を見てくれた染織家の叔母の存在だった。「叔母が絵画教室を開いていて、自分もそこで絵を習い、自然と画集を手に取るような環境で育ててもらった」と感謝を滲ませる。やがて作品が描かれた背景や作者の人生を調べる面白さに引き込まれ、高校生の頃には「美術に関わる仕事に就きたい」と将来の方向性を決めていた。叔母の母校でもある東京藝大に合格し、美術史を専攻。塾講師のアルバイトで旅費を貯めてヨーロッパの美術館を巡り、そのスケールに圧倒されながら知見を広めた。卒業後は母校を中心に大学講師などを務め、2年前から大学美術館に勤める。
○…主な業務は作品管理や展覧会の企画。2018年に上野の森美術館で開催されたエッシャー展も監修した。またオランダなどの西洋美術史を研究分野とし、レンブラントに関する著書もある。「美術は目にしただけで人の心に強い影響を与えるところ、調べると一つひとつに様々な舞台裏があるところが面白い」
○…音楽学者の妻と中学生の息子の3人家族。仕事で欧州を訪れるうちにクラシックが好きになった。妻とコンサートに出かけることもあるが「趣味と言えるほどでは」と謙遜する。理由を尋ねると「趣味に近いことを仕事にしているので」と照れくさそうに微笑んだ。
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