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大磯・二宮・中井 人物風土記

公開日:2022.12.16

第26回七壁舎能面展を主宰する能面作家の
原田 満雄さん
平塚市在住 91歳

魂込め打つ能面

 ○…シテ(主人公)が演じる役柄によって「神・男・女・狂・鬼」の5ジャンルに分けられる能。3年ぶりに開催される作品展には、自身の作品を7面出展する。その中には新作能面公募展で大賞を、ニューヨークで開かれた展覧会では審査員特別賞を受賞した『尉(じょう)』も展示される。「生徒さんたちの2年間の成果発表の場となるので、たくさんの人たちに見に来てもらえれば」と話す。

 ○…東京生まれ。幼少期から物作りが好きだったという。終戦後、台所の流しがなく母親が困っていたところ、ブリキの板で流しを制作。「おふくろに喜ばれたことをよく覚えていますよ」と懐かしむ。その後、自動車製造に携わり定年まで40年間勤めあげた。「造形的な仕事をしてきたので、面打ちと通ずるものがある」と語る。

 ○…面打ちを始めたのは55歳のころ。平塚市の講座を1年間受講し、「もっと学びたい」と、能面師に10年間ほど師事した。「30年以上、面打ちをしていても常に新たな気持ちで面(おもて)と向き合っている。その面が演じる物語と登場人物の内面を理解し、思いを込めて打つことが大切。造形だけでなく、内面を表現することにおもしろさがある」とその魅力を説く。

 ○…健康の秘訣は、能面作りと70年続けている社交ダンス。「指先と頭を使うからね」と笑顔。スポーツ好きで、若かりしころはスキューバダイビングやヨットに打ち込み、スキーは全日本スキー連盟1級の腕前。能面打ちの信条は「品位なきものは能面にあらず」。「品格がないと能面とは言えない。能面はこれでいいっていうものはない。さらに極めていきたい」。奥深い世界を探求し、魂を込め能面を打ち続ける。

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