大磯・二宮・中井 人物風土記
公開日:2023.11.03
二宮町内の工房で活動するひょうたんランプ作家の
向川 康樹さん
小田原市在住 38歳
ひょうたんに故郷の星空
○…ひょうたんに穴を開けたり削ったりして模様を描き、白熱電球を灯す「ひょうたんランプ」を制作。11月23日〜27日には大磯駅前の湘南ギャラリーえんで初個展「瓢箪灯展」も予定している。「ひょうたんはやわらかく加工がしやすい。だからこそ繊細な模様を描いたり、光の濃淡を表現できる。写真では伝わらない魅力があると思うのでぜひ生で見てほしい」と準備を進める。
○…創作をはじめるきっかけは友人が育てたひょうたんをもらったこと。「形には見覚えがあるのに、何に使うのかは知らないな」と疑問を抱き、調べてみるとひょうたんの灯りに行きついた。当時、キャンドルアートの空間演出などの手伝いをしていたこともあり、灯りの表現に興味を持った。動画などの資料を見ながら見様見真似で制作。素材から灯りが透ける様子や影の映り方に惹かれた。「直感的に、本気でやってみようと思った」。さまざまな工具を試し、思い通りの表現をするための技術を独学で身に着けていった。「より唯一無二なものを作っていきたい」
○…冬になると雪が2m積もる、福井県大野市で生まれ育った。星空の世界遺産とも言われる「星空保護区」にも認定されており、中高生の頃の遊びはもっぱら、焚火をしながら星を見ること。目に馴染んだ星の輝きは「光の散らし具合に通じている気がする」と作品にも影響している。
○…妻と愛犬と「ほぼ自給自足」で暮らす。制作に使うひょうたん畑の一角では野菜のほか麦や大豆を育て、醤油や味噌は妻が自作。米は友人たちと育てている。「固定でかかるのは通信費と光熱費くらい。身体の忙しさより、精神的な安定、豊かさを感じられる」と話す笑顔と農作業で日に焼けた肌がまぶしい。
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